大成建設が室内への花粉やPM2.5の侵入を防ぐ浄化装置を開発:製品動向
大成建設は、風除室に設置することで、衣服や頭髪に付着した花粉やPM2.5などを素早く除去し、マンションやオフィスの居住・執務空間への持ち込みを軽減して、室内環境の向上を実現する浄化装置「T-Clean Air」を開発した。今後、快適で健康的な空間を構築するアイテムとして、マンションをはじめ、オフィス、病院、介護老人保健施設などの新築工事とリニューアル工事にT-Clean Airを提案していく。
大成建設は、マンションやオフィスの居住・執務空間を快適で健康的な空間として提供することを目的に、エアシャワーユニットとファンフィルターユニットを組み合わせた花粉などの浄化装置「T-Clean Air」を開発した。
エアシャワーユニットの花粉除去率は約80%
屋外に飛散している花粉などは、衣服や頭髪に付着して屋内に侵入してしまうと、住民がアレルギー症状を引き起こしかねない。
そこで、大成建設は、精密機器工場のクルーンルームで使用されているエアシャワーユニットとファンフィルターユニットの技術を組み合わせて、マンションやオフィスの室内で花粉などを除去するT-Clean Airを開発した。
T-Clean Airは、風除室(ふうじょしつ)内に配置するため、人の通過動線を妨げない。これまで使われていたボックス型エアシャワーユニットのように扉を開けて入るのではなく、エアシャワーユニットとファンフィルターユニットとの間を通過するだけで、衣服や頭髪に付着した花粉などを除去するので、気にせず運用することが可能。
T-Clean Airのエアシャワーユニットには、非接触センサーが設置されており、人が通過する際に、数秒間稼働し、HEPAフィルターを通した清浄な空気で衣類や頭髪に付着した花粉などを吹き飛ばして取り除く。大成建設がエアシャワーユニットの性能を確かめるために行った実証実験では、約80%の花粉除去率となった。
除去した花粉などは、エアシャワーユニット下部の吸込口とエアシャワーユニットの対面に配置したファンフィルターユニットの吸込口から回収され、各ユニットに内蔵されているHEPAフィルターで捕集する。
エアシャワーユニットとHEPAフィルター内のファンフィルターユニットは、常時運転し、エアシャワーで吹き飛ばした花粉などを効率良く捕集して風除室の空間全体を常に清浄化させる。
T-Clean Airを風除室に設けるメリットは、衣服や頭髪に付いた花粉などを除去し、花粉などの室内持ち込みを軽減することと、ファンフィルターユニットの常時運転により室内全体の清浄に保てることがある。
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