「学校基本調査」に見る新卒者の建設技術者への就職動向:建設業の人材動向レポート(29)(2/2 ページ)
本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向について、さまざまな観点で毎月レポートしている。今回は、文科省の「学校基本調査」をベースに、建設業界に入職する学生数についての人材動向をレポートでまとめている。
■高専新卒で建設技術者として就職する学生数は2020年に「上昇」に転じる
次に、高等専門学校の新卒者で建設技術者として就職する学生数は、2017年の776人から2年連続で減少していたが、2020年には上昇に転じ797人となった(図表3)。
また、女性比率については2016年の26.6%から2020年には33.1%に上昇している。
■専修学校新卒から建設技術者として就職する人も2020年に「減少」
最後に、専修学校の測量、土木・建築科を卒業して関連分野に就職した人数みると、2016年の3404人から3年連続で増加して2019年には4471人となったが、2020年は減少に転じて4421人となった(図表4)。また、女性比率は2016年の17.2%から2020年には20.8%に上昇している。
■まとめ
2016年から2019年にかけて好調な建設市場を背景に建設技術者不足が続き、建設業各社は積極的に新卒者を建設技術者として採用してきたが、2020年には建設市場の拡大が踊り場に差し掛かったこともあり、新卒への需要はやや低下傾向になった。
今後については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から建設市場が縮小傾向になると考えられることから、2021年、2022年の新卒での採用数はさらに減少するのではないかと考えられる。一方、新卒で建設技術者として就職する学生における女性比率は、大学・大学院、高等専門学校、専修学校、全てで上昇傾向が続いており、建設技術者の採用における女性の重要性は今後もさらに高まると思われる。
著者Profile
ヒューマンタッチ総研(所長:高本和幸)
ヒューマンタッチ総研は、ヒューマンホールディングスの事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営する建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析を行うシンクタンク。独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信を行っている。
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