熊谷組が東北自動車道の床版取替工事に「コッター床版工法」を導入:導入事例
熊谷組は、コッター式継手を利用してプレキャスト床版を接合する「コッター床版工法」の実工事への導入を進めている。このほど、東北自動車道の床版取替工事に床版工法を採用したことを発表した。今後、コッター床版工法を高速道路のリニューアルプロジェクトを中心に適用しつつ、工法の改良を推進していく。
熊谷組は、ガイアートやオリエンタル白石、ジオスターと共同で開発した「コッター式継手を用いた道路橋プレキャストPC床版(コッター床版工法)」を用いて、東北自動車道の床版取替工事を完了した。
小型化と軽量化を実現した改良型コッター式継手は2021年度に導入予定
コッター床版工法は、供用中の道路で橋梁(きょうりょう)床版の取替工事に使用する技術で、コッター式継手を利用してプレキャスト床版を接合することで、従来の工法に比べてより速い施工が行える。接合は床版に埋設されているC型金物にくさび状のH型金物を挿入し、固定用ボルトを締め込むことで十分な接合強度を確保する。
NEXCO東日本 東北自動車道の十和田管内高速道路リニューアル工事では、小坂川橋上り線で、コッター床版工法を床版取替に導入した。
同工事では引き続き、2020年度に1橋、2021年度に2橋の床版取替工事を予定しており、全工事でコッター床版工法を適用する。
さらに、各工事で蓄積される施工データを分析し、コッター式継手の小型化と軽量化によるコストダウンや施工方法の改善による施工の高速化、橋梁のフルプレキャスト化で品質向上など、工法の改良を目指していく。また、小型化と軽量化を実現した改良型コッター式継手は、2021年度から市場に投入する予定。
コッター床版の施工実績は、2021年末には約8000平方メートルになる見込みで、同工法を開発した4社の共同事業も順調に収益を伸ばすとともに、受注拡大が期待されている。
今後は、高速道路のリニューアルプロジェクトを中心に実績を積み重ね、海外への展開も視野に入れて技術の改善に取り組んでいく。
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