橋梁の床版取替工事で、構造寸法図の作成時間を3分の1に短縮するプログラム:製品動向
三井住友建設は、橋梁の床版取替工事で、構造寸法図の作成時間を短縮するプログラム「SMC-Slab」を開発した。今後、同社が進めるトータル建設マネジメントシステム(DCM)の一環としてSMC-Slabを活用し、橋の大規模更新事業でi-Constructionを推進していく。
三井住友建設は、橋梁(きょうりょう)の大規模更新事業における床版取替工事で、構造寸法図の作成時間を3分の1に短縮する設計支援プログラム「SMC-Slab」を開発した。
床版取替工事における構造寸法図の作成では、既設橋梁の紙図面をCADデータにすることや工場製プレキャスト(PCa)床版などの情報(寸法や形状)と既設橋梁に関する現地測量データの入力を全て手作業で行っている。手作業では、PCa床版の割り付けや設置高さ、排水桝(ます)といった付属物の配置で検討を繰り返し行うため、多くの時間がかかるという課題があった。
解決策として、三井住友建設は設計支援プログラムSMC-Slabを開発した。SMC-Slabは、汎用表計算ソフトに入力した上記の各種情報をCADソフトに取り込むだけで、自動的に構造寸法図を作る。また、自動作成された図面の修正や微調整、繰り返し行う検討作業は、再度データを読み取るだけで進められる。
既に三井住友建設は、2019年11月15日から島根県鹿足郡吉賀町蓼野で手掛けている「中国自動車道(特定更新等)蓼野第二橋他3橋床版取替工事」でSMC-Slabを初適用した。
三井住友建設は、SMC-Slabに3次元モデルの自動作成機能を追加し、PCa床版設置時に設計図と実配置を可視化することで、施工の効率化や精度の向上を目指す。さらに、PCa床版の配筋図における自動作成プログラムの開発を進めていくとしている。
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