大成建設と横国大が連携強化のため「クロスアポイントメント制度」を活用:産業動向
大成建設と横浜国立大学は、産学連携を強化するため、クロスアポイントメント制度を活用することで合意した。同制度では、横浜国立大学の教員が大成建設の「技術アドバイザー」として招聘され、共同研究と人材育成の両面で互いに協力していくことになる。
大成建設と横浜国立大学は2020年12月10日、さらなる連携強化を深めるため、新たに「クロスアポイントメント制度」を活用することで合意したと公表した。
両者は、2019年10月9日の包括連携協定締結から1周年を迎え、2020年11月17日に活動報告及び意見交換会を開催した。意見交換会では、これまで1年間にわたる連携活動の総括として、両者での共同研究や合同セミナー、人材育成に関わる協力などの数々の取り組みが報告された他、新たにクロスアポイントメント制度を活用し、より一層の連携強化と研究促進を目指すことが確認された。
クロスアポイントメント制度とは、研究者などが大学、公的研究機関、企業の中で、2つ以上の機関に雇用されつつ、研究者の年間における全仕事時間を適正化するエフォート管理の下で、それぞれの機関における役割に応じて研究・開発及び教育に従事することを可能にする制度。
今回、企業と大学間でのクロスアポイントメント制度の適用は、両者にとって初の事例となるため、締結までに慎重な検討を重ねたという。その結果、双方にとって十分な成果が見込まれることから、2020年12月から同制度をスタートさせることで合意に至った。具体的には、横浜国立大学の教員が大成建設の「技術アドバイザー」として双方を行き来することとなり、当該分野での共同研究の加速が期待される。
また、意見交換会では、SDGsや新型コロナウイルス感染症に対する新しい生活様式や働き方への対応に関する議論もなされた。その中で、連携強化にあたり、両者の強みを生かしつつ、新価値創造の実現に向け分野を超えて協力し、イノベーションの創出を促進していくことが包括連携の目的である「社会的課題の解決と産業の発展への寄与」の達成につながるとされた。
なお、両者は、2018年度文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティー研究環境実現イニシアチブ(牽引型)」の共同実施機関でもあり、研究環境の整備や人材育成に継続して取り組んでいる。
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