戸建て性能向上リノベーションで築36年が新築性能を上回る:プロジェクト
YKK APが、福岡の健康住宅とのコラボレーションにより、戸建て性能向上リノベーション物件「福岡 橋本の家」を完工。断熱と耐震の面で新築物件の性能を上回る。
YKK APは2019年5月29日、福岡県の健康住宅と協働で、「福岡 橋本の家」を完工したと発表した。中古戸建てにおける断熱と耐震の性能向上リノベーションを実証するプロジェクトの一つで、九州では初の物件だ。
福岡 橋本の家では、築36年の木造住宅を、現在の一般的な新築住宅の性能を上回るレベルにリノベーションした。窓は、アルミサッシと単板ガラスの組み合わせから、YKK APで最も断熱効果が高い高性能トリプルガラス樹脂窓「APW 430」シリーズに交換し、壁、天井、基礎の断熱も強化した。その結果、UA値が1.88 W/m2・Kから0.44 W/m2・Kと断熱性能が約4倍に向上したという。この値は、当地の平成28年省エネ基準0.88 W/m2・Kを上回る。
耐震性能の向上のために、YKK APの開口部耐震商品「FRAMEII(フレームツー)」(門型)を2か所に使用し、壁を増やしたり窓を減らしたりすることなく開口部の耐力壁量を増やした。また、制振ダンパーも使用した。これらの耐震性能向上の施策により、新築の耐震等級1を超える、震度6の地震で倒壊しない耐震等級3相当まで強度は高まった。
構造材や仕上げ材には福岡県産材をはじめとする九州の木材を使用。外構や換気設備の設計には地元の高校生や大学も関与し、産学連携も行った。
YKK APは2017年から全国のリノベーション事業者と連携して、窓や開口部の入れ替えによる断熱・耐震の性能向上リノベーションが、住まいの価値を変えるかどうかを実証するプロジェクトを展開してきた。本物件は九州初の物件で、2019年12月末まで事業者向けに公表しノウハウの提供や地域への情報発信に活用するとしている。
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