現場特化のAndroid搭載スマートグラス「RealWear」、日本市場を狙う
スマートグラスに代わる産業用ウェアラブル・コンピュータが、日本市場で本格的に販売展開を開始する。米RealWearの製品は、Android OSを搭載し、各種アプリが使える他、屋外の過酷な建設現場での使用にも耐えるスペックを有している。
スマートグラスタイプの産業用ウェアラブル・コンピュータを販売する米RealWearは2019年11月25日、日本市場への本格参入を発表した。同社のウェアラブル端末はグローバルでは、販売開始から20ヵ月で製造業や建設業、物流産業など幅広い業界向けに、2万台以上を出荷しているという。
ディスプレイは、7インチタブレットに相当
RealWearの主力製品「HMT-1」は、頭部に装着し、手を使わずに操作できるAndroid OSベースのヘッドマウントディスプレイ(HMD)。CPUは、Qualcomm Snapdragon 625(2.0 GHz 8-core)で、Android 8.0.1を標準搭載しているため、ドキュメントナビゲーターやバーコードリーダー搭載カメラ、ビデオレコーダー、メディアプレーヤーといった内蔵アプリが動かせる。メモリは、2GB RAM/16GB内蔵ストレージ。
現場では、熟練者による遠隔作業支援やデジタルマニュアルの閲覧、ワークフローの確認や入力、作業内容を画像/動画/音声で記録するなど、業種を越えて多様な使い方が見込まれる。
高解像度マイクロディスプレイは、屋外対応の7インチタブレットに相当(854×480ピクセル)し、視線のすぐ先の最適な位置にセットできる。操作方法は、音声ベースのオペレーティングシステムのため、スクロール/スワイプ/タップといった手を動かすことなく、両手が塞がっていても、単純な音声コマンドだけで操作可能だ。
過酷な建設現場での使用には、高耐久性で応える。IP66の防水/防じん性能をはじめ、角度を問わず2メートルの落下に耐える耐衝撃性、米国国防総省MIL規格に準拠し、マイナス20度〜50度までの環境で稼働する堅牢性も備える。バッテリー容量は3250mAh(ミリアンペアアワー)のリチウムイオンで、通常使用で9〜10時間持つ。通信はWi-FiとBluetoothに対応し、GPSや3軸の加速度センサーも装備している。
RealWearは、日本市場について、製造プロセスのデジタル化で先行していることを重視しており、日本の産業基準に合わせた開発を進めている。既に日本語の音声入力には対応済みで、技適の認定取得に加え、高耐久のHMT-1Z1モデルは日本の防爆基準TIIS認定を取得。遠隔作業支援や保守点検業務のデジタル・ワークフロー、IoTシステム連携などで、数多くのパイロット・プロジェクトがスタートしているという。
日本に向けた営業戦略としては、10社以上のリセラーやアプリ開発企業、システムインテグレーター、OEMパートナー、コンサルティングパートナーと提携し、2019年中には追加で20社程度の企業ともパートナーシップを締結するとしている。なお、日本の代表には、元Japan Entry代表の澄谷健氏が就任している。
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