長谷工が現場の木くずをバイオマス発電の燃料に、取得した電力は建設作業所で活用:産業動向
長谷工グループでは、2020年からスタートした中期経営計画「HASEKO Next Stage Plan」で、CSR経営の確立を基本方針の1つに掲げた。CSRに関するテーマの1つである「大切にしたい風景」の実現に向けて、建設作業所から発生する木くずを燃料に使用した電力を建設作業所で利用する取り組みを開始した。
長谷工コーポレーションは、建設作業所から発生する木くずを燃料に使用したバイオマス発電で得られた電力を建設作業所で利用する取り組みを2020年11月に導入し検証を開始した。
火力発電に比べてCO2の排出量を10%削減
同社はこれまで、建設廃棄物を削減し、建物の設計・施工の各段階でCO2排出量をカットするなど、環境負荷の低減に注力してきた。建設作業所では、省燃費運転の励行や省エネ機器の採用、低炭素型コンクリートの導入、廃棄物のリサイクルなども推進している。
今回の検証では、長谷工コーポレーションの建設作業所で発生した木くずを産業廃棄物中間処理施設で破砕処理によりチップ化し、バイオマス発電の燃料にする。次に、バイオマス発電施設で発電された電力を建設作業所の仮設電力として用いる。再生可能エネルギーの利用を含んだ資源循環を実現することで、化石燃料を主体とした火力発電に比べてCO2排出量を10%削減可能だと見込んでいる。
再生可能エネルギー電力を供給する建設作業所は、神奈川県で手掛けている「横浜市港北区大倉山七丁目計画新築工事」と大阪府の「(仮称)東淀川区下新庄3丁目計画新築工事(販売名称:ローレルスクエアOSAKA LINK)」。東京地区における木くずの中間処理とバイオマス発電はタケエイグリーンリサイクルが担当し、小売電気事業者は横須賀アーバンウッドパワーが担う。
関西地区における木くずの中間処理は、都市樹木再生センターが担当し、バイオマス発電は都市樹木再生センターグループのBPS大東が担い、小売電気事業者は都市樹木再生センターグループのグリーンパワー大東。
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