NTT東日本らがインフラ点検扱うドローン会社を設立、2021年度の売上目標は10億円:ドローン(2/2 ページ)
NTT東日本やオプティム、WorldLink & Companyが設立したNTTe-Drone Technologyは2021年2月1日に事業を開始する。今後、NTTe-Drone Technologyは、市場の成長が予測されているインフラ点検と農業の分野でドローンビジネスを展開し、2021年度中に売上10億円を目指す。
測量用ドローンはシェアリングサービスで提供
記者発表会の後半で、NTTe-Drone Technologyの山崎氏は、「インプレス研究所が発表したデータによれば、国内のドローン市場は、2019年度から2025年度にかけて、マーケットの規模が1400億円から6400億円に拡大する。農業分野から市場が立ち上がり、次に点検分野でマーケットが大きくなると見込まれていることを踏まえて、NTTe-Drone Technologyでは、両分野を対象にしたドローンサービスの開発に注力する」と語った。
NTTe-Drone Technologyでは、まず、NTTアグリテクノロジーズなどと連携し、エンルートから事業譲渡された国産の農薬散布ドローン「AC101」の販売、保守、教育スクールの運営を通して、農業用ドローン普及に向けた地域の拠点を整備。次に、点検や測量、通線、防災、物流などでドローンサービスを展開する。
NTTe-Drone Technologyが販売するドローンは、農業機のAC101と産業機「EC101」の2種類で、両ドローンともに女性が運搬しやすいペイロード4〜8キロの中型機。NTTe-Drone Technologyは、軽量化と省電力重視の制御技術で実現したバッテリーの持ちを長所に両ドローンをユーザーに訴求する。また、EC101をベースに、電波測定用機材を搭載した通線ドローンの開発や高精細カメラとレーザー測量機を備えた測量・センシングドローンの開発も進める。
「災害時で役立つ通線ドローンと測量・センシングドローンは、使用機会が少ない割に、開発や維持、運用にコストがかかるため、両ドローンをシェアリングサービスで安く使えるようにし、利用シーンの拡大に貢献する」(山崎氏)。
今後の展開について、山崎氏は、「対象の現場に精通した有識者と話し合いを重ね、AIや5G、クラウドを活用したドローンサービスを開発し、ユーザーが頭を抱える課題を解消していく。さらに、特定のエリアにおけるセンシングと画像解析を受託することやパイロットの派遣、国産ドローンの利用シーン開拓と技術獲得につながる実証試験も行う予定だ」と明かした。
なお、オプティムは、NTTe-Drone Technologyに、ドローンで空撮した画像からAIで害虫と施肥されていないエリアを検知してピンポイントで農薬と肥料の散布が行えるシステムなどを提供する予定だ。WorldLink & Companyは、NTTe-Drone Technologyで、ドローンの販売や保守、ドローンの操作を学べる教室の運営などを担当する。
NTTe-Drone Technologyの売上目標は、2021年度中に10億円で、2024年度までに40億円を掲げている。
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