三井不動産がベンチャー向けオフィスビルを開業、吹き抜け構造で開放感を演出:プロジェクト(2/2 ページ)
三井不動産が、柏の葉におけるスマートシティー構築の一環として、開発を進めていたオフィスビル「KOIL TERRACE」が2020年10月末に竣工した。KOIL TERRACEは、ベンチャー企業が拠点として活用できるオフィスビルを目指して開発したもので、施設のコンセプトに「SMART&Well-being」を掲げ、建物の1〜5階を吹き抜け構造にし開放感を演出するなどして、快適に働ける環境を構築した。
リラックスルームには酸素カプセルを配置
2階〜5階には、専有部を配置しており、2階にはリラックスルームや会議室、プレゼンテーション用とブレインストーム用のミーティングスペースを設けた。リラックスルームは、テナントが無料で使え、酸素カプセルを1台とマッサージチェアを3台設置している。2階の会議室は、施設内の会議室で最も広く、面積は85平方メートルで、30分あたり1800円で使える。
6階には、200席を備えたコワーキングスペースと共用ラウンジ、コンシェルジュカウンターを配置し、両エリアとも入居者のみが利用可能。コワーキングスペースは、入居者に提供される専用のQRコードでセキュリティゲートを開き使用する。共用ラウンジは、休憩スペースとして活用でき、共用ラウンジは1時間あたり1万円で貸し切れる。
「会議室とコワーキングスペースはスマートフォンの専用アプリで予約が行える。コワーキングスペースは、将来的に地域住民も使えるようにする可能性があるが、コロナ禍の現状を踏まえて、当面は入居者のみが利用する。アトリウムとラウンジの貸し切りはコンシェルジュカウンターで進められる」(小林氏)。
建物のBCP対策に関して、館内の全エレベーターは、地震時に停止した場合、自動で安全性を確認し、復旧と運転を再開。断水時には、上水と雨水再利用水を3日間供給する。
停電時には、非常用発電機が起動し、エレベーターの1基を駆動して、共用部の照明における4分の1を点灯し、専有部に取り付けられたドアの電源を確保して、トイレへ水を配水する電力も供給する。専有部にも1平方メートルあたり10ボルトアンペアの電力を送るため、貸付面積200平方メートルのケースでは36台のノートPCが使える。
電源設備は、電力会社が保有する2カ所の変電所から各1系統の電力を引き込む「2回線受電方式」を採用しており、回線の1つが断線しても、他の回線から受電できる。被災時には食料、飲料水、医療品などの備蓄を各テナントに1日分を提供する。
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