コロナの影響でマンション市場に大幅な変化、長谷工総研の独自分析から読み解く:マンションビジネス総合展(3/3 ページ)
2020年上半期の新規分譲マンションの供給は首都圏/近畿圏とも減少となり、全体として大幅な減少。価格面では、首都圏で平均面積が減少し、1平方メートルあたりの価格が大幅に上昇した一方で、近畿圏の平均価格は横ばい、面積の縮小も若干にとどまる結果となった。
供給戸数が減る中、これからの市場見通しは
講演の最後、酒造氏はこれから先の見通しとして、新規マンションの供給戸数を挙げた。首都圏と近畿圏で供給戸数が減少していることは先に触れたが、その割には新規分譲マンションの着工数はコンスタントに推移しているという。供給の材料は不足しておらず、市場に投入・販売する時期がズレていることに他ならない。
酒造氏は、首都圏で3万5000戸〜4万戸、近畿圏では2万戸程度がいつでも供給できる状態にあるとする。ただ、実際に販売する/しないを決めるは事業主の意向による。そして、首都圏・近畿圏とも、事業主の数は大幅に減少しているのが現実だ。結果、体力のある大手デベロッパーが供給の中心となり、市場の状況を見ながら、ゆっくりと供給することになるだろうと予想した。
酒造氏は、これらを理由に首都圏での新規供給が2万1000戸程度、近畿圏では1万3500戸程度まで減少するとの予測を提示。販売の見通しでは、今後の経済状況、とくに所得状況によって販売がスローダウンする可能性を認識しなければならないと説いた。
afterコロナの傾向としては、在宅勤務の影響か、郊外エリアを中心に30歳代の若年層がマンションや戸建てを購入する動きが見られるという。非常に低水準の金利と贈与税の優遇措置も追い風となっている。若年層を中心とする購買傾向は、今後も継続することが見込まれる。
一方で、これからの雇用や所得の状況によっては、いわゆるパワーカップルを含めた高額所得者層と投資を目的とした需要については、スローダウンする懸念も捨てきれない。もちろん、コロナによる影響は治療法、特効薬、ワクチンなどの開発によって大きく変化するし、景気対策などの政策によっても左右される。酒造氏は、引き続き市場全体を注目していく必要があるとし、講演を締めくくった。
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