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“BIM認証”サービスが本格始動、最古の規格協会BSIがBIM国際動向と認証の意義を説くBIM(1/4 ページ)

BSIジャパンは、BIM認証に関するサービスを日本国内で本格的に開始した。BIMについての国際的な認証を受けることで、受注競争力を高め、国内外での受注機会を増やすだけでなく、BIMに特化した認定トレーニング制度も用意されているため、人材不足にあえぐ業界で次世代の人材育成にもつなげられるという。

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 BSI(British Standards Institution:英国規格協会)の日本法人BSIグループジャパン(略称:BSIジャパン)は、日本向けのBIM認証に関するサービスをスタートさせた。

 近年は国内の建築/建設領域で普及が進むBIMだが、欧州、とくにBIM先進国の英国と比べると、まだまだ活用の場は限定的と言わざるを得ない。

 1901年に英国で設立し、英国王室からの認可の証“ロイヤル・チャーター”を戴く、世界最古の国家規格協会BSIは、世界各国でBIMに特化した認証審査と各種研修サービスを展開している。国内でのサービスローンチに先立ち、BSIジャパンは「今、知っておくべきBIM認証」と題するオンラインセミナーを2020年7月に開催し、ワールドワイドでのBIMの現状となぜBIM認証/検証の認可が必要なのかを解説した。登壇者は、BSIジャパン 製品認証部 ビジネスデベロップメントマネジャー 仁井田克英氏。

国際規格協会BSIの成り立ち

 仁井田氏は、最初に日本の建設業界を俯瞰的に分析し、「ピーク時の1997年には約685万人だった建設業の就業者数は、現在では498万人に減少してしまっている※1。今後も少子高齢化により、働き手不足に陥ることが見込まれ、次世代への技術継承は深刻な問題とされている。さらに生産性でも、米国を仮に10割とすると、日本はまだ8割程度にとどまっている。そのためにBSIでは、BIMを単なる(3次元化の)ツールではなく、BIMでマネジメントするという観点に基づき、認証機関の立場として、人手不足の解消や海外での受注競争に勝てる日本企業のBIM有効活用に貢献していきたい」と抱負を語った。

※1 参照:国土交通省「建設産業の現状と課題」

 続くBSIの紹介では、英国ロンドンにあるタワーブリッジのデザイナーJohn Wolfe Barry氏が招集した1901年の工業規格委員会会合が組織発足の起点になったと解説した。

 世界最古の国家規格協会であり、1947年設立のISO(国際標準化機構)創立メンバーでもあるBSIは、およそ120年にも及ぶ長い歴史の中で、組織のパフォーマンスを向上させる今ではどの企業でも使用している「ISO 9001(品質)」をはじめ、「ISO 14001(環境)」「ISO/IEC 27001(情報セキュリティ)」など数々のメジャーな規格を策定してきた。


BSIの120年に及ぶ歩み

世界の規格策定機関。1901年創設のBSIが世界最古の組織

 現在は、全世界193カ国で8万6000人以上の顧客を有し、米Fortune誌が選ぶ世界企業番付「Fortune 500」の53%、ロンドン証券取引所の株価指数「FTSE 100 Index」の83%をそれぞれ占める企業がユーザーとなっている。国内でも、BSIで規格を発行して、その後に世界市場へと事業拡大するケースが多いため、日経平均株価225銘柄の81%がBSIの利用企業となっている。


長い歴史の中で、ISOの原案となる数多くの規格を開発してきたBSI

 BIMを取り巻くグローバルでの現況分析では、BSIが本拠を置くイギリスでは建設事業の約40%がBIMによる公共物件の言わば“BIM先進国”。BIMモデルが2004年にアメリカで発表されて以来、イギリス国内では独自の調査や研究が進み、他国に先駆け2009年にはBIMガイドラインを作成し、その後、数年ごとに更新されている。

 さらに2011年5月には、英国政府が公共部門の資産コストを2016年までに最大20%削減することを目標に定めた「Government Construction Strategy(建設産業政策)」をとりまとめ、この中では2016年までに建設全工程での完全な3D BIM活用の要求※2を明記し、現実のものとしている。振り返ると、これが実質的な英国での“BIM宣言化”と見なされている。

 その後2013年には、Government Construction Strategyを補足した「Construction2025」を公表し、温室効果ガス排出量の50%削減、建設時間(企画から竣工まで)の50%削減、建設資産の生涯コスト33%減などを掲げ、BIMによる建設業界のイノベーション投資を促している。

※2 “2.32 Government will require fully collaborative 3D BIM (with all project and asset information,documentation and data being electronic) as a minimum by 2016. ”「Government Construction Strategy」

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