30トンの荷を遠隔旋回する「スカイジャスター」、床版据え付けなどでレンタル開始:製品動向
総合建機レンタル業のアクティオは、吊り荷の旋回を遠隔で制御する機械装置「スカイジャスター」のレンタルを開始した。スカイジャスターは、風などの影響で吊り荷が回ってしまうのを防ぎ、地上の作業員が介錯ロープを使わなくても、任意の方向へ吊り荷を回転させられる。
アクティオは2020年5月27日、吊(つ)り荷の旋回を遠隔で制御する機械装置「スカイジャスター」のレンタルを開始した。
125tm2までの吊り荷の旋回制御が可能
スカイジャスターは、橋脚、護岸、土木工事などの安全性と作業効率を高める機械装置で、大林組が東京スカイツリーの鉄骨、仮設、外装工事で使用したことで知られる。構造は、フライホイールとそれを内包するジンバルがそれぞれ独立して回転し、フライホイールは装置使用中は常に高速回転する仕組み。コンクリート板など風の影響を受けやすい吊り荷でも安定して運べ、狭小スペースや高層などの強風な現場での導入が想定される。
最大吊荷慣性モーメントは125tm2(トン平方メートル)で、平面形状にして長さ12メートル、幅1メートル、重さ10トン程度の吊り荷を制御することが可能だ。遠隔操作は、無線を介して最大100メートル離れて制御できるため、補助作業員が不要となり、バッテリーも内蔵されているので外部配線も必要ない。吊り荷の重さは最大30トンまでで、それ以上の場合は50トン用と80屯用の吊り天秤(てんびん)を使用することで対応する。
レンタル開始の理由について、アクティオは近年、開通から半世紀が過ぎ、経過年数に伴う劣化に加え、大型車交通量の増加や車両総重量の拡大、凍結防止剤の散布などで、高速道路のインフラ老朽化が社会問題となっていることを挙げる。そのため、橋脚の架け替えなど、高速の大規模リニューアル工事が順次進められており、安全かつ効率良く作業することが求められているとする。
そこで今回、吊り荷の旋回制御技術を活用し、大規模インフラ工事の生産性を向上させるスカイジャスターのレンタルを開始するに至った。
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