ビルメンロボットの普及組織創立、初代会長企業にアクティオ:ビル×ロボット
ロボットメーカーなど14社で構成された日本ビルメンロボット協議会が2018年7月5日、発足した。初代会長企業にはアクティオが就き、今後はビルメンテナンス分野でロボットの普及と導入の拡大を図っていく。
建設機械レンタルの大手アクティオをはじめ、ビルメンテナンスロボットメーカーを中心とした14社は2018年7月5日、ビルメンテナンスロボットの普及促進や産学協同による研究開発、政策提言を目的とした組織「日本ビルメンロボット協議会(Japan Building Maintenance Robot Consortium、略称:JBMRC)を発足させた。初代会長にはアクティオの糸賀浩延氏が就任した。
清掃・検査ロボットの普及促進戦略WGを設置
JBMRCは、これまでビルメンテナンス分野において、全国規模でロボットのマッチング会、操作体験会などを開催してきた「ビルメンテナンスロボット普及促進コンソーシアム」を発展させた組織。ロボットの導入を拡大させることで、ビルメンメンテナンス業界の高齢化や人手不足を補っていく。
会員企業は、業務用清掃・検査ロボットメーカーを中心とした関連企業・団体で構成。ワーキンググループは、「清掃ロボット戦略WG」「検査ロボット戦略WG」を常設で設置し、普及促進戦略を検討する。
個別WGは、「吸引型業務用清掃ロボットの清掃性能など評価基準検討WG」で、日本工業規格を視野に、日本環境管理学会と連携し、吸引型業務用清掃ロボットの性能評価基準を策定する。「業務用清掃ロボット導入講習・操作体験会実施WG」では、JBMRCがとりまとめた導入手引書を使用して、全国主要ブロックで、ビルメンテナンス協会会員企業を対象に講習会および操作体験会を開催する。
ビルメンテナンス以外では、宿泊施設向けのWGは、ホテルなどと連携しロボット活用場面の調査および実証を行う。障がい者就労支援検討のWGでは、業務用清掃ロボットを活用して、障がい者就労機会の拡充可能性について検討する。
また、展示会関連のWGは、全国ビルメンテナンス協会、日本能率協会が主催する業界最大規模の展示会「ビルメンフェア&クリーEXPO2018」の特別イベントで、ロボット操作体験会、ロボット導入講習会を企画・実施する。
前身団体では、全国ビルメンテナンス協会や各都県のビルメンテナンス協会の協力のもと、「ビルメンテナンスロボットマッチング」を2016年に東京、茨城、東北、2017年に千葉、愛知で開催。清掃ロボットの商品説明およびデモンストレーションを行ってきた。
また、経済産業省ロボット補助事業へ参画し、2事業が採択された。平成28年度には、アクティオ本社にビルメンテナンスロボットの常設展示場を開設。ビルメンテナンスロボットの「導入の手引書」の作成し、「導入に関する講習」を実施。ロボット導入促進のSIer育成事業として採択。
平成29年度には、採択事業者の日本環境マネジメントの他、SIerとしてアマノ、フィグラを加えた3社で、ビルメンテナンスロボット実証フィールドのウエスタ川越で、公共空間における床清掃ロボットの生産性評価と導入実証を行った。
JBMRCの糸賀会長は、「ビルメンテナンスにおけるロボットの役割は非常に大きく、長時間従事させても清掃能力は衰えることが無い。人が立ち入れない狭い場所や、危険が伴う高所でも優れた清掃能力を発揮する。ビルメンテナンスロボットの普及促進活動や産学協同による研究開発、政策提言などを通じ、業界の労働環境の改善だけでなく、女性、高齢者、障がい者がより働きやすい環境作りを実現し、さらには人とロボットが共存する社会を築けるようなさまざまな活動を通じて社会に貢献していく」とコメント。
アクティオではレンタルとコンサルティングを掛け合わせた「レンサルティング」のサービスを提案している。単に機械を貸すだけでなく、専門的なノウハウを持ってサポートする。このレンサルティングの概念をビルメンロボでも追求していく。
2018年6月時点での会員企業は、アクティオ、アマノ、セールス・オンデマンド、大和ハウス工業、ディスプロ、中西金属工業、日菱インテリジェンス、日本ウイントン、日本信号、フィグラ、マキタ、ミズノ、港産業、ユニキューブTecnos(50音順)。
オブザーバーに、全国ビルメンテナンス協会、日本空調システムクリーニング協会、日本能率協会、日本ロボット学会。
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