「建築機械レンタルは無限の可能性」 アクティオが50周年で“ICTとAI活用”を掲げる:情報化施工
建設機械レンタル大手のアクティオは、設立50周年を記念して新たな一歩を踏み出した。これまで副社長だった小沼直人氏が社長兼COOに就任。ICTとAI(人工知能)を積極的に活用することで、現在のグループ売上高3000億円の規模を4000億円まで拡大する狙いだ。
3つの重点施策を発表
高齢化や人手不足が深刻化する建設業界。国土交通省が2015年12月に公開した「建設現場の生産性に関する現状」によると、建設業就業者数は1997年から2015年までに185万人減少しており、2025年までにはさらに110万人の減少が想定されている。
大きな転換期を迎えた国内建設業界、建設機械レンタル大手のアクティオは2017年5月15日、設立50周年を記念して新たな一歩を踏み出した。これまで創業社長を務めていた小沼光雄氏が会長兼CEO、副社長だった小沼直人氏が社長兼COOに就任した。
同日アクティオは記者会見を開催し、今後の戦略について説明。小沼直人氏は重点的に行う施策として次の3つを挙げた。1つ目はシェアの拡大である。「レンタルは顧客が必要なときに、必要なだけ機械を供給するのが使命」(小沼直人氏)としており、そのためには適正在庫が重要になるという。アクティオは50年蓄積した稼働データを持っており、これに人工知能(AI)を融合させることで、過去のデータから適正な地域、適正な数だけ供給することを目指す。2016年は年間平均6.5万台、過渡期だと10万台にも及んだ機器の出入りを、技術で適正化することでシェア拡大につなげる狙いだ。
2つ目は、専門性の高いレンタルビジネスの拡大である。建設業界に限らず、高い専門性と技術力を必要とする分野への営業活動を強化する。3つ目は人材育成サービスである。ICTも活用しながら各地で研修会を行うことで、熟練技術の伝達を行うとした。
ICTの活用にあたっては、米国企業との共同研究を進めているという。小沼直人氏は、他にも遠隔監視による機械のトラブル未然防止や、独自の標準化デバイス開発につなげる構想を掲げた。またベンチャー企業との連携も検討しているようだ。
グループ売上高4000億円の達成へ
アクティオの2016年12月期における売上高は、1643億4700万円となっている。グループ全体でみると総従業員数は約7300人で、売上高は約3000億円規模とする。同社は1997年から、レンタルとコンサルティングを合わせた「レンサルティング」(商標登録済み)を掲げており、提案型のレンタルサービスで規模を拡大させてきた。
「変幻自在に変化できるレンタルビジネスは、無限の可能性があると考えている。ICTの活用を積極的に推進するとともに、海外展開の加速、戦略的なM&Aなどを実施することで、グループ売上高4000億円の達成に向けて挑戦したい」(小沼直人氏)
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