ニュース
太平洋セメントが大成と3Dプリンタ用新セメント部材を開発、6mの橋を実現:3Dプリント
太平洋セメントと大成建設は、複雑な形状の構造部材を3Dプリントできるセメント系プレミックス材料を開発した。
太平洋セメントは、建設用材料に求められる性能を満たし、さまざまな環境温度で、複雑な形状の構造部材を安定的かつ短時間で高精度に3Dプリンティングできる新しいセメント系プレミックス材料を大成建設と共同で開発した。
外気温度に左右されず、短時間で高精度に自動で3Dプリント
太平洋セメントでは、ME(材料押出し)方式の3Dプリンティングに必要な性能をコントロールする無機系材料技術のノウハウを活用することで、国内初の3Dプリンタ用セメント系プレミックス材料「デジミックス」を既に実用化している。
今回、建設用材料に必要な強度発現性などの性能が確保できるように、速硬成分及び添加剤などの最適化を図ることで、さまざまな環境温度において安定的に造形できる技術を見いだした。この技術をベースにして、大成建設と新たなセメント系プレミックス材料を共同開発した。
新開発の3Dプリント用マテリアルは、デジミックスの発展形となるもので、3Dプリンタ「T-3DP(Taisei-3D Printing)」で用いると、建設用に設計された部材を外気温度に影響されることなく、短時間で高精度に自動製作することが可能になった。
T-3DPは大成建設が、アクティオ、有明工業高等専門学校及び太平洋セメントと開発した建設用3Dプリンタ。実証実験では、新材料とコンクリート構造物で一般的に用いられるプレストレストコンクリート技術とを組み合せることで、複雑な形状の構造部材を完成させ、歩行可能な6メートルの端を構築した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- コンクリートの型枠不要で自由な形状の建設用部材を生み出す3Dプリンタ、前田建設工業
前田建設工業は、コンクリート用の3Dプリンタと専用のセメント系材料を開発。建設用部材を自由な形状に造形可能とした。コンクリートの型枠組みや打設などで人手が不要となり、大幅な省人化が図れる。1月下旬から協創パートナーを公募し、迅速な実用化を目指す。 - 3Dプリンタで国内最大の幅7m構造物を製作、構造検討にトポロジー最適化で重量半減
3Dプリンタで構造物の製造に取り組んでいる大林組は、国内で最大規模となる7メートル幅の大型ベンチ製作に乗り出した。プリントするにあたり、鉄筋コンクリート構造のように、専用の特殊モルタルと繊維補強コンクリートを組み合わせた複合構造とすることで、構造物に掛かる引張力を負担させ、構造上の課題を解決した。 - セメント系建材を出力できる3Dプリンタを開発、幅1.7×長さ2×高さ1.5mの構造物を製作
大成建設は、最大で高さ1.5mのセメント系建材を出力できる3Dプリンタを開発した。実証実験では、高さ1.3mの大型柱を120分で製作したという。 - 建設業界を変えるテクノロジーたち
BIMを筆頭に、建設業界に関連する最新技術の活用状況の現在と、今後の展望について解説していく本連載。第4回では建設業界にイノベーションをもたらす可能性があるさまざまなテクノロジーをピックアップして紹介する。