ドローン橋梁点検手法「君津モデル」全国展開へ:ドローン
アイネットは、君津市や木更津工業専門学校など4団体の連携パートナーと協力し、ドローンを活用する橋梁点検手法の実証実験を行った。従来の点検手法と比べると、点検の簡易化やデータのスピーディーな共有、AIによる高精度のひび割れ診断、コスト削減効果などが見込めることから、今後「君津モデル」として全国展開していく。
データセンターブロバイダーのアイネットは2020年3月に、君津市、Dアカデミー、Automagi、木更津工業専門学校の4団体と連携し、2019年から実施してきたドローンを活用する新しい橋梁点検手法「君津モデル」について成果報告会を開催。ひび割れ診断の精度向上やコスト削減効果などが認められたことから、今後は連携パートナーとともに同モデルを全国自治体へ展開する。
今回の実証実験では、アイネットがドローンで撮影した大容量データの保管や出し入れ、共有を、君津市が市職員によるドローンの操作・撮影を、Dアカデミーが機体貸し出しや操縦指導を、AutomagiがAIによるひび割れ診断を、木更津工業高専がAIの精度向上に向けた評価・助言をそれぞれ担当した。
実証実験では、ドローン操作のトレーニングを受けることで、市職員でも橋梁の点検が可能であることを確認した。職員が撮影したデータは、アイネットが提供するストリーミングサービスにより、安全かつスピーディーに保管および共有できる。撮影データを活用したひび割れ診断では、AIによりひびを高精度に検出。検出精度は今後レベルアップを実施する。コスト面では、点検事業の直営化や委託点検の範囲縮小により、令和2年度点検費用を年間2100万円削減できる見込みだ。
君津市では、他の自治体同様、高度経済成長期に建設したインフラが耐用年数の限界を迎えており、点検に要する人員や予算の不足が課題となっている。これを受けて君津市は、アイネットなど関係団体と連携し、2019年からAIを活用した橋梁点検の実用化に向けた検証を行ってきた。
その成果として、自治体職員自ら小型ドローンを操縦して橋梁を点検する君津モデルを確立し、今回の発表に至った。成果報告会では君津モデルの概要をまとめた映像が放映され、現在はアイネットの公式YouTubeチャンネルで視聴できる。
https://youtu.be/pwQkSwlW2tU
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