大林組とSkyDriveがドローンで重量建設資材の運搬に成功:ドローン
大林組は、建設業界で進む少子高齢化に起因する作業者減少などの問題を解消する手段の1つとして、山間地や急傾斜地でのドローンによる建設資材運搬の実用化を推進している。
大林組は2020年2月13日、建設現場での重量物運搬におけるドローン活用を目的に、SkyDriveが開発している産業用ドローン「カーゴドローン」を用いた実証実験を共同で実施したと発表した。
土のうや木杭などを搬送
実験内容は、愛知・豊田市内にある研究開発拠点「知の拠点 あいち」で、土木現場での利用を想定して、カーゴドローンに、土のうや木杭、ブルーシートといった建設資材を搬送させた。
実験では、目視可能な範囲内で、自律飛行させたカーゴドローンにより、約30キロの各種建設資材を運べることを確認した。今後、両社は本番環境で、実証実験を重ね、建設現場に適した機体の開発と効果的な活用方法を検討していく。
大林組は現在、建設業界で、少子高齢化に伴う作業員の高齢化と減少を見据えた対応が喫緊の課題になっていることを踏まえ、作業員が技術や習熟を必要とする業務に集中できるように、AGV(Automated Guided Vehicle)などを利用した資材運送を進めている。
だが、土木現場は、山間部や急傾斜地であることが多く、AGVなどを使った陸送による資材運搬の自動化が困難だった。また、このような地形で人が資材を運ぶ場合には、事故が発生するリスクもあったため、今回の実験に踏み切った。
実証試験で使用したカーゴドローンのサイズは、1.7(幅)×1(高さ)×1.3(奥行き)メートルで、推奨ペイロードは30キロ。飛行速度は毎時40キロ。飛行可能距離が最大量積載時に3キロで、飛行時間は15分。運搬方法は機体固定式ボックスで着陸せず荷物を昇降するウインチ機構で行う。
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