豊洲で延べ約12万m2の複合開発、日本初“都市型道の駅”で都市のデジタルツイン:プロジェクト(2/2 ページ)
清水建設は、東京都江東区で複合開発計画「(仮称)豊洲6丁目4-2-3街区プロジェクト」の開発を進めている。街区内に建設する都市型道の駅「豊洲MiCHiの駅」には、音声ナビゲーションシステムや交通・防災情報をタイムリーに発信するデジタルサイネージを実装し、施設の利便性を高める。
現実とサイバー空間をリンクさせた仮想モデルで施設利便性を高度化
豊洲MiCHiの駅は、交通広場にバスターミナル機能を整備するもので、交通広場の上部を約1700平方メートルの大規模デッキで覆い、来街者の休憩や交流の場として役立つオープンスペースを置く。オープンスペースには、ゆりかもめ「市場前」駅と晴海運河の水辺空間をつなぐ歩行者デッキを設置する。
併せて、車いす利用者や視覚障がい者などを含む来街者をそれぞれに適した誘導方法で、目的地まで案内するスマートフォン対応の音声ナビゲーションシステム「インクルーシブ・ナビ」と、交通・防災情報をタイムリーに発信するデジタルサイネージを実装し、利便性の向上を図る。また、まちの賑(にぎ)わい創出に貢献する飲食・物販機能として、モビリティビジネス・プラットフォーム事業を展開するMellowの移動型店舗サービスの導入も見込んでいる。
同街区は、国土交通省が「スマートシティー先行モデルプロジェクト」の1つに選定した「豊洲スマートシティー」のエリア内に位置していることから、スマートシティー化に向けた取り組みとして、同街区と周辺エリアを対象に、現実と仮想空間を融合させた「都市デジタルツイン」を構築する。
都市デジタルツインは、都市インフラや地盤、建物などの3次元デジタルデータに、カメラとセンサーが収集した交通や人流、物流、エネルギー、環境のモニタリングデータをリアルタイムに反映させることで、サイバー空間上に現実とリンクした動的な仮想モデルを作り上げる。仮想モデルを利用したシミュレーションで、施設運営や次世代型モビリティサービスの効果検証を行い、施設が備える機能性の高度化と新サービス開発の加速化を図る。なお、サイバー空間の基盤となる建設DXプラットフォームの構築については、関連会社のプロパティデータバンクが協力する。
今後、清水建設は当該街区を豊洲スマートシティーの推進拠点と位置付け、快適で活力に満ちたQOL(Quality of Life)の高いまちづくりを後押しするとともに、得られた成果を全国の都市再生・地方創生プロジェクトに展開していく。
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