「鉄筋継手」をAIで自動検査、NTTコムウェアと清水建設が2020年に試験運用へ:AI(1/2 ページ)
NTTコムウェアは、業務量が膨大な一方で、熟練者の経験に依存している鉄筋継手の検査業務を、独自のAIで自動化する技術を開発した。スマートデバイス上のアプリから撮影するだけで、継手部分の球の形状が適正化かを判定する。2020年中の実用化を目指し、同年1月から、ともに開発を進めてきた清水建設の実現場でトライアルを開始するという。
NTTコムウェアは2019年11月21日、清水建設と共同で、鉄筋と鉄筋を継ぐ継手を対象にしたAI検査の実用化に本格的に乗り出すことを公表した。2020年1月から現場でのトライアルを始め、AIの精度を高め、同年前半には研修用ツールとして運用を開始する。
検査員はスマホで撮影するだけ、20秒で完了
NTTコムウェアが開発したAI検査は、工事検査の中でも、重要かつ数が膨大なガス圧接継手に焦点を当てている。継手の外観チェックを半自動化することで、検査業務の省力化を図る。
AI検査で作業員が使うのは、Android OSを搭載したスマートデバイスのみ。専用アプリを起動した後は、鉄筋径を選択して、継手部分をガイド表示に沿って撮影するだけで、継手の大きさや角度が適正かどうかを独自AIの「Deeptector」が自動判定する。これまでのように、熟練者の目視点検に頼ることなく、経験の浅い検査員でも20〜30秒で正確に確認することができる。
発表日に都内で開催された説明会では、エンタープライズビジネス事業本部 産業・公共ビジネス部長の澤秀雄氏が新事業の概要を解説した。
NTTコムウェアは、これまでにもAIを活用して通信インフラ向けに、電柱支線の目視測定やニチレキと組んだ路面損傷のレベル分けなど、課題を解決する取り組みを進めてきた。今回の試みは、業界標準で目視による検査が多い建設業界にも、AI検査を拡大させる初弾となる。
建設業界の工事検査には、検査能力の個人差や訓練/教育の難しさがあり、とくに人手不足が叫ばれる業界内では検査員の確保や増員が難しくなってきている。これを画像認識AIを適用することで自動化し、人手に依存している検査方法からの脱却を目指す。
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