JR西日本がロボットベンチャー「人機一体」に出資、鉄道メンテを機械化:ロボット
JR西日本イノベーションズは、ロボットベンチャーの人機一体に第三者割当増資を行った。今後は、JR西日本グループ内で人機一体のロボット技術を活用し、鉄道メンテナンス作業の高効率化を目指す。
JR西日本グループは、「中期経営計画 2022」で「メンテナンスのシステムチェンジ」を進め、安全な鉄道・交通サービスの持続的な提供に向けて、新しいメンテナンス手法への転換に挑戦している。
出資を受けた滋賀県草津市に本社を置く人機一体は、先端ロボット工学を社会実装することで、機械メーカーや建築/土木、鉄道インフラ、倉庫、工場などの分野を対象に、社会課題としての「重労働」の解消を目標に掲げ、2007年10月に設立されたベンチャー企業。ロボットをフィジカルな道具と位置付け、人が直感的・直観的に操る技術を「知識製造業」としてパッケージ化し、市場に供給することで、物理的な力を人が自在に操り、フィジカルな重労働を強いられることのない世界の構築を目指している。
人機一体は、一般的なロボットメーカーのようなビジネス形態を採らないという。製品としてロボットを販売するのではなく、ロボット技術の知的財産権を武器に、課題を抱える企業と一緒になって、課題解決に向けた枠組み(プラットフォーム)を提供する今までに無いビジネススタイルを標ぼうしている。
人機一体では、今回の提携により、鉄道構造物の点検・保守作業に関して、自動化・無人化だけではなく、「機械化・人間能力拡張」という軸での高度化も進めるとしている。実現すれば、作業効率と安全性が高まるだけでなく、メンテナンス手法の革新、さらには人の労働価値の向上にもつながることが期待される。
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