「インフラ点検の常識を変える“RaaS”で世界へ」、東工大発ロボベンチャーHiBot CEOに聞く:インフラメンテナンス最前線(5/5 ページ)
発電所や化学プラント、航空機など、極限環境に耐えるインフラ点検ロボットと、AIデータプラットフォーム「HiBox」の2つから成るRaaS事業を展開する東工大発ベンチャーのHiBot――。これまで、清水建設との共同研究や福島第1原発でのアーム型ロボットの採用など、ロボティクス分野で多数の実績を積み重ねてきた。創業から16年が経った2020年は、第2創業期としてターニングポイントを迎え、多国籍コングロマリット企業やプラント分野で有力な国内のメンテナンス会社とパートナーシップを締結するなど、グローバル市場での飛躍を志す。
多様なステークホルダーが参画する「SPRINT Robotics」
グローバルのインフラ点検市場をみると、2020年には前年比で7.2%の市場規模の拡大が見込まれており、ロボット点検には現在、シェアを獲るべく複合企業からベンチャーまで、さまざまなプレイヤーが乱立している状況にある。混乱を防ぐため、「SPRINT Robotics」と称する組織が設立され、サプライヤーや商社だけでなく、Royal Dutch ShellやBASF、BPなど、オイル、ガス、化学、インフラ(橋、鉄道など)のエンドユーザーが参画し、ロボット仕様や運用の細かいガイドラインを取り決めている。
SPRINT Roboticsで、アジア・パシフィックのコーディネーターも務めているグアラニエリ氏は、「世界的にインダストリーの分野では、新技術はすぐには受け入れらにくい。だが、こうした横断的なグループがあると、ルールが業界内で標準化され、準拠した新しいテクノロジーならば使ってみようとなる。技術を保有しているが売り先が無いデベロッパーや技術を探しているクライアントを結ぶ、機会創出の場になっている。日本でも2020年5月にジャパンセミナーを予定していたが、コロナ禍により、2021年に延期となってしまった。次回は、マーケット規模の巨大なアジア圏でのコラボレーションを生み出すチャンスとしたい」と期待を込める。
インタビューの最後にデベネスト氏は、HiBotが他社製のロボットと違う理由を「ロボットメーカーの観点で考えると2つの方向性があり、このうち世の中に全く無いものを作ろうとするパターンは挫折することが少なくない。もう1つの既存のものを改良して現場に適用する方は、イノベーションを起こしにくいが、商品化は容易。HiBotは、この中間にあり、これまで陽の目を見なかったロボットも多数作ってきたが、大学の研究室時代も含めて、技術を長年培ってきたからこそ、多くのパートナー企業と連携して、改良を重ね、FloatArmのような多様な業務に活用できる汎用性のあるロボットを開発することができたのだと実感している」と語った。
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★「アナログな業界で“不動産テック”を巻き起こす」、オープンハウスがAI/RPAで2.5万時間を削減
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