検索
インタビュー

「インフラ点検の常識を変える“RaaS”で世界へ」、東工大発ロボベンチャーHiBot CEOに聞くインフラメンテナンス最前線(4/5 ページ)

発電所や化学プラント、航空機など、極限環境に耐えるインフラ点検ロボットと、AIデータプラットフォーム「HiBox」の2つから成るRaaS事業を展開する東工大発ベンチャーのHiBot――。これまで、清水建設との共同研究や福島第1原発でのアーム型ロボットの採用など、ロボティクス分野で多数の実績を積み重ねてきた。創業から16年が経った2020年は、第2創業期としてターニングポイントを迎え、多国籍コングロマリット企業やプラント分野で有力な国内のメンテナンス会社とパートナーシップを締結するなど、グローバル市場での飛躍を志す。

Share
Tweet
LINE
Hatena

ボイラー水管の維持管理で、HiBoxを活用したRaaSの連携強化

 2020年5月28日に発表された荏原環境プラントとの第三者割当増資による資本業務協定の締結では、両社共同で、水浸超音波探傷センサーを搭載した小型走行型ロボット「SQUID(スクイッド)」を実用化させた。


小型走行型ロボット「SQUID」

 荏原環境プラントは、国内外の400施設を超える固形廃棄物の処理施設で、排熱回収用ボイラー水管の腐食や摩耗の経年劣化を正確に把握するため、定期的に管の厚さ測定を行っている。しかし、この測定業務でネックとなっていたのが、小型のセンサーを小口径のボイラー水管に挿入する前に、水管の一部を切断しなくてはならないことだった。

 専用にカスタマイズしたSQUIDは、管寄せ配管にある点検口から投入して、測定対象の水管まで走行させた後、センサーを水管へ挿入し、ボイラ水管の厚さを内側から自動で連続測定する。これにより水管切断が不要となり、ボイラー水管の維持管理で、作業従事者の安全性向上と廃棄物削減の両立が実現する。

 今後は、SQUIDもハードだけではなく、HiBox上での点検計測作業の効率化や取得データを用いた高精度な寿命予測診断などのソフト面も提供していく。


小型走行型ロボット「SQUID」によるボイラー水管の点検

新型コロナウイルスの設備点検に対する影響は?

 今後の事業戦略をグアラニエリ氏は、「目下は、核となるHiBoxのソフトウェアをプロダクトアウトさせることに注力する。2021年にはもう1段ステップアップし、ワールドワイドで展開していくためにも、インフラストラクチャを確かなものとしていきたい」。

 その先、「2024年には日本での株式上場を目標に設定している。設備点検の市場予測としては、新型コロナウイルス感染症の影響で、新しい設備の買い控えが起きるのではないかとみており、そうなれば必然的に老朽化した設備の点検需要が高まり、遠隔のオートメーション(自動化)は有効策として、これからも普及していく余地がまだまだある」と自信をのぞかせた。

 国内でも浸透しつつあるドローン点検との差別化には、「仮に超音波を使うとなると、点検精度の問題で機体とのケーブル接続は不可欠だが、飛行するドローンにとっては不利になる。また、ドローン機体のペイロード(最大積載量)との兼ね合いでも、FloatArmは先端のモジュールを付け替えられる汎用性が優れている」と説く。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る