竹中技術研究所がCASBEE-ウェルネスオフィス最高評価の「Sランク」を取得:導入事例
竹中工務店は、千葉県印西市で改修工事が完成した「竹中技術研究所」が建物の総合環境性能評価システムCASBEEで、最高評価のSランクを獲得した。
竹中工務店は、2019年10月にリニューアルした「竹中技術研究所」で、建築環境・省エネルギー機構が推進する建物の総合環境性能評価システム「CASBEE-ウェルネスオフィス認証」の最高評価「Sランク」を取得した。
ワークスタイル「ABW」を進化
CASBEE-ウェルネスオフィス認証は、建物利用者の健康性や快適性の維持・増進を支援する建物の仕様、性能、取り組みを評価する制度。建物内で執務するワーカーの健康性や快適性に直接的に影響を与える要素だけでなく、知的生産性の向上に資する要因、安全・安心に関する性能についても評価する。
評価結果は各評価項目の合計点数により5段階で表され、「Sランク」はそのうち最も高い評価となる。
評価対象は、リニューアルのメインとなる研究棟のオフィスエリア。とくに評価のポイントとなる健康性、快適性、知的生産性は、研究員がアクティビティーに合わせて場所を選択するワークスタイル「ABW(Activity Based Working)」を進化させた点、象徴的な大階段と吊(つ)り階段により、立体的に一体空間を構築し、コミュニケーションの誘発と歩行促進へ配慮した点が高く評価された。ABW導入にあたっては、家具・空間構成のみならず、温熱・光環境の観点から多様性に満ちた執務スペースを創出した。
また、イノベーションを目指して構築した「調の森 SHI-RA-BETM」は、地域の植生に配慮した緑地計画や、養蜂・水草の生息域外保全などの取り組みが、生態空間の創出という点で同様に高い評価点を得たという。
竹中技術研究所のリニューアルコンセプトは、1.Creation 〜1人1人の創造性が高まる環境へ〜、2.Innovation 〜オープンイノベーションを促進する環境へ〜の2点を掲げ、既成概念にとらわれないゾーニング・空間設計と最新の建築・設備・情報技術を適用し、2019年10月にオフィスエリアを大規模にリニューアルした。
Creationでは、「家具・内装による多様性」と「建築設計による空間や環境の多様性」を掛け合わせ、屋外環境の変化を感じながら執務できる場や外部からの刺激を感じにくい場、温熱・光環境を好みに調節できるシステムなど創造性を刺激するさまざまな取り組みにより空間を構築。さらに、多様な個人が行き交う空間設計で、従来よりも活発なコミュニケーションを醸成することで、創造的活動の増加も期待される。
また、Innovationでは、外からの刺激によるイノベーションを目指し、課題の発見や解決策の創出につながる「深い対話の促進」と、「研究資源のオープンな活用」に適した環境を整備した。分野や立場を超えたダイナミックかつセキュアな議論を加速させるとともに、ときには顧客も巻き込み、イノベーションの創出を後押しする。リニューアル以来は、ロボティクス分野のベンチャー企業や材料メーカーなどとの協業活動を開始しているという。
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