「品川シーズンテラス」のオフィス16.8万m2がBELSの5スターと、国内最大規模で「ZEB Ready」取得:ZEB
延べ床面積16.8万平方メートルにも及ぶ複合ビル「品川シーズンテラス」のオフィス部分が、1次消費エネルギーで51%を削減し、この規模としては国内初となる「ZEB Ready」を取得した。
NTT都市開発、大成建設、みずほ信託銀行、東京都市開発はこのほど、共同で事業を進める東京都港区港南一丁目の大規模複合ビル「品川シーズンテラス」のオフィスエリア評価で、建築物省エネルギー性能表示制度「BELS」の最高ランクである☆☆☆☆☆(5スター)と「ZEB Ready」認証を2019年12月25日付で取得したことを明らかにした。「ZEB Ready」認証の取得建物で、オフィス部の面積は国内最大規模の建物になるという(取得時)。
BELSやCASBEEの最高ランクも取得済み
品川シーズンテラスは、4社が共同で開発し、2015年2月25日に竣工したオフィスや店舗などが入る32階建ての複合ビル。構造は、S造(柱CFT造)とRC造(免震構造)で、延べ床面積は約20万6000平方メートル(オフィス部分:約16万8000平方メートル)。設計はNTTファシリティーズ、大成建設、NTT都市開発、日本水工設計で、施工は大成建設が担当した。
広大な緑地や水辺の景観が調和する国内最大級の環境配慮型オフィスビルとして、太陽光をビル内に導くスカイボイドや涼しい外気を取り込むナイトパージ、下水熱エネルギーを利用した空調設備、再生水の利用など、快適性と省エネルギー性能を両立している。標準的な建物と比べ、年間の1次エネルギー消費量は、オフィス部で51%(建物全体では43%)を削減したことで、ZEB Ready認証を取得するに至った。
ZEBを取り巻く動向としては、2018年5月に経済産業省が設置した「ZEBロードマップフォロー委員会」が、「延床面積1万平方メートル程度を超える建築物について、ZEB Readyの実現に繋げるための方策を検討すべき」と指摘したことで、同省では大規模建築物でのZEB化を促進している。
そのため今回、オフィス部分だけでも延べ約16.8万平方メートルのビルで、1次エネルギー消費量で50%以上の削減をクリアし、ZEB Ready認証を取得したことは、国の目指す大規模建築物のZEB化を先導するものになると、事業者4社はその意義を強調する。
また、品川シーズンテラスは、ZEBやBELS以外にも、「CASBEE(建築物総合環境性能評価システム)」認証制度で最高ランク「Sランク」の認定も受けている。さらに、東京都建築物環境計画書では、熱負荷の低減率(PAL低減率)及び設備システム全体のエネルギー利用低減率(ERR)に関して、いずれも最高ランクのAAA(段階3)評価も得ている。さらに日本政策投資銀行が創設した「DBJ Green Building」認証制度で、最高ランクにあたるプラチナのプランも取得している。
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