都市部で「ZEB Ready」達成のオフィスビル、鹿島が業務を開始:省エネビル
鹿島は都市型省エネオフィスというコンセプトで建設した東京都港区の「KTビル」で、2016年11月から業務を開始した。都市部の限られた敷地制約の中でオフィス空間のスペース効率を最大化しつつ、さまざまな省エネルギー技術を導入。CASBEEの新築部門でSランク、BELSにおいて国内オフィスビルで初めて「ZEB Ready」を取得している。
鹿島が本社ビル隣地に建設した「KTビル」(東京都港区元赤坂)が、都市型省エネオフィスとしてこのほど業務を開始した。KTビルは、2014年9月1日に建設を開始。都市型省エネオフィスを目指して、コスト合理性に配慮しながら、ビル用マルチ空調やLED照明など汎用的な設備システムをベースに、省エネ制御技術を導入している(図1)。
その結果KTビルは「CASBEE(建築環境総合性能評価システム)」の2014年版(新築)においてSクラス、BEE(環境性能効率)8.1を記録し、第三者認証を取得した。認証期限が継続している建築物としては、国内最高スコアとなっているという。BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の2016年度の新基準では、54%の省エネを達成し、国内オフィスビルで初めて「ZEB Ready」(ZEBを見据えた先進建築物)を実現した(図2)。
さらに、平成2014年度「住宅・建築物省CO2先導事業」(現サステナブル建築物等先導事業、省エネ・省CO2に係る先導的な技術の普及啓発に寄与する住宅・建築物に対し、国土交通省が整備費等の一部を補助する)に採択された。KTビルは2016年8月15日に竣工。同社の東京土木支店、東京建築支店が入居している。構造はS造(CFT柱)、一部RC造。地下1階、地上12階、搭屋1階の規模で、敷地面積1866平方メートル、延床面積11791平方メートル。最高高さ54メートル。
鹿島ではKTビルを「都市部の限られた敷地制約の中でオフィス空間のスペース効率を最大化し経済的で、高い環境性と快適性を同時に実現したビルとなった」と評価しており、今後、都市型中規模オフィスのモデルケースとして、積極的に提案していく方針だ。
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