建設業界でも新型コロナの影響は甚大、公共工事一時中止の申し出は250件に:産業動向
新型コロナウイルスが建設工事そのものにも大きな影響を与えていることが明らかになった。政府が2020年4月16日、緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大したことを受け、国直轄の公共工事や業務を一時中止するなどの申し出が急増している。
国土交通省はこのほど、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けた国直轄の公共工事と業務における一時中止などの申し出状況を明らかにした。
公共業務は全体の約16%に相当する870件で一時中止の申し出
緊急事態宣言の全国拡大後となる2020年4月23日時点で、国が直轄する公共工事の全件数約7000件のうち、全体の約4%に相当する約250件で、一時中止の申し出があった。一方、国が直轄する公共業務は、全件約5500件のうち、全体の約16%に当たる約870件で、一時中止の申し出が確認された。
緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大する前の4月16日時点では、国が直轄する公共工事の全件数約6000件のうち、約3%に相当する約200件で、一時中止の申し出があり、国が直轄する公共業務は、全件約4000件のうち、全体の20%に当たる800件で、一時中止の申し出があった。緊急事態宣言の対象地域が全国拡大以降、公共工事と業務の一時中止が増加傾向を示している。
国土交通省は、公共工事や業務の一時中止措置をとる場合、受発注者間で協議することを求めており、工事の継続または再開に当たっては、感染拡大を防止する対策の徹底を要望している。
防止策として、同省は手洗いや咳エチケットの励行、消毒液の設置、発熱などの症状が見られる者に休暇を取得させるといった基本的な対処の他、テレワークの実施を推奨している。さらに、「3つの密(密閉・密集・密接)」を避けることを後押しするために、3つの密を回避する取り組み事例の発信などを行っている。
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