日本郵便が本社ビルで、日立製エレベーターと連動した配送ロボの実証:ロボット(2/2 ページ)
日本郵便は日立ビルシステムや日立製作所と共同で、郵便配送ロボットの実証実験を東京・大手町の本社ビルで行った。今回のテストでは、ロボットが自律走行で移動しながら、エレベーターと連携をとりつつ、人や障害物を適切に回避して目的地まで配達できることが確認された。
採用したロボットは自律式の「YAPE」
エレベーターとの連携は、ロボットが携帯電話回線を使って信号を送り、カゴの呼び出しや目的階を指定。エレベーター側では、ロボット側からの信号に応じて、エレベーターの稼働制御を行った。
実証に用いたロボットは、日本郵便が2017年に初となるオープンイノベーションプログラム「Drone Future Aviation」で選定したDrone Future Aviationが独占取扱権を保有する「YAPE(ヤペ)」を採用。YAPEは、イタリアのハイテクメーカーe-Noviaの子会社yapeが開発した自動搬送ロボットで、30%の傾斜と7センチの段差に対応し、凸凹した道も走行。本体のサイズは70(幅)×80(高さ)×60(奥行き)センチで、積載可能な重さは10キロ。動力は電動で、最速毎時6キロのスピードが出せる。
今回の結果について日本郵便は、「課題としては、エレベーターに多数の人と同乗するのが難しいことや進行先に人が多数集まった場合に周辺環境の認識に支障を来すケースが見られたため、人との共存における認識精度の向上が挙げられる。また、実用化のためには、オペレーションの簡素化や機体価格の低減などによる運用コストを抑えることも必要と考えている」とコメント。
実用化のめどは、「法規制の影響を受けない屋内環境では、スモールスタートで取り組んでいきたいと考えており、高層マンションやオフィスビルなどの屋内環境での活用を想定している。公道走行も視野に入ってはいるが、法整備の動向を見ながら検討していく。具体的な時期は未定であるものの、5年程度先の実用化を見据えて取り組んでいるところ」と話す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「目指すはアジア・中東でのシェア確立。カギは新IoTダッシュボード」、日立ビルシステムの事業展望を聞く
日立ビルシステムは、事業の柱であるビルシステム事業で、日立のIoTプラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」をコアに据えた新規サービスの開発に力を入れている。これまで売り上げの大半を占めていたエレベーター(EV)やエスカレーター(ES)の製造販売と保守点検だけにとどまらず、ビル設備の領域でも事業を拡大させ、昇降機とビルサービスの両輪でグローバル市場でのシェア獲得をうかがう。 - 日立の世界一高い“288.8m”エレベーター試験塔、中国・広州市で完成
日立の中国現地法人「日立電梯」は、広州市の研究開発拠点に、世界最高クラスの高さを誇るエレベーター試験塔を建設した。新設する試験塔は、世界最大のエレベーター市場が形成されている中国での開発力を高め、同国内での地盤を固めるとともに、日立ビルシステムの2020年度事業戦略でターゲットと定めるアジア・中東圏でシェアを拡大させることが狙い。 - 日本郵政グループの本社機能移転「4社計6000人が大手町へ引っ越し」、CBREがマネジメント支援
CBREは、日本郵政グループから受託した本社機能の集約/移転に関する“プロジェクトマネジメント支援業務”がこのほど完了したことを明らかにした。プロジェクトでは、4社合計6000人もの大所帯が、50年ぶりに霞が関から大手町へと引っ越しを遂げた。 - 万博需要を見込み大阪駅が西側へ拡大、西日本最大のオフィスビルや新改札口
大阪駅が、うめきた2期など周辺の街づくりと連動する形で、西側の再開発を加速させる。駅自体も西側に新改札口を開設する他、新駅ビルと、日本郵便ら4者共同の複合ビルが高架下の連絡路で連結し、西側エリア一帯の回遊性を高める。2025年大阪万博の需要を見込み、新たなにぎわいの拠点を創出する。