住宅は大和ハウスの一人勝ち、第3四半期決算から見る市況概要:産業動向(3/3 ページ)
ヒューマンタッチ総研は、建設業主要各社の2020年3月期第3四半期決算のまとめと今後の市場予測を公表した。レポートではプラント・エンジニアリング業を除く5業種は増収増益となり、土木では主要10社全て、ゼネコン、電気設備工事業、管工事業では9社が増収になったと報告している。
プラント業は5社が増収、うち3社が増収増益で業績は改善傾向
プラント・エンジニアリング業は10社中5社が増収で、このうち栗田工業、太平電業、レイズネクストの3社が増収増益(図表6)。太平電業は売上高が前年同期比17.7%増、純利益が同41.8%増、レイズネクストは売上高が同19.6%増、純利益が同149.4%増と大幅な増収増益となり、両社ともに通期業績予想の純利益を上方修正している。
前年同期は純利益が▲1281億5100円であった千代田化工建設が、168億67百万円の黒字に転換するなど、業界全体で収益性が向上している。
※東芝プラントシステムは2020 年1 月27 日をもって上場廃止
増収増益は1社のみ、厳しい決算
住宅建設業の増収増益は業界トップの大和ハウス工業のみで、4社が赤字決算となる厳しい結果となった(図表7)。業界全体では増収増益だが、これは大和ハウス工業の売上高・利益の金額が大きいためで、同社を除いて売上高と純利益を集計すると、減収減益。
また、大和ハウス工業の住宅建設における売上高は、戸建て住宅が3536億円で前年同期比0.4%減、賃貸住宅が7407億円で同4.8%減となり、住宅建設業の経営環境は厳しい状況にある。
※ミサワホームはトヨタ―ホームの完全子会社となり、2019年12月30日に上場廃止
ヒューマンタッチ総研所長・高本和幸氏は、「2020年3月期第3四半期の建設関連主要企業の決算を見ると、ゼネコンは10社中9社が増収で、7社が増収増益。土木工事業は10社全てが増収、6社が増収増益だった。さらに管工事業は9社が増収、8社が増収増益であり、非常に好調な決算となっている。電気設備工事業については、純利益ベースでは主要10社合計で減益となったが、経常利益ベースでは増益で、好調を維持している。プラント・エンジニアリング業でも5社が増収、3社が増収増益となり、業績は改善傾向にある。一方、住宅建設業は4社が赤字決算になるなど、非常に厳しい決算結果となった」と総括する。
また、「国土交通省の2020年度予算概要によると、公共事業関係費は大幅な増加となった前年度とほぼ同水準の5兆9369億円になるなど、今後についても政府建設投資は堅調に推移すると想定される。東京オリンピック・パラリンピック終了後の民間の建設投資については、不透明な要素が多くなるが、第3四半期におけるゼネコン大手の受注高は堅調で、公共事業が底支えとなって今後についても建設市場は堅調に推移するのではないかと思われる。このような市場環境の中、建設技術者の有効求人倍率は7.50倍(2019年12月)で高止まりしており、今後についても人材確保は建設業各社にとって大きな経営課題になる」とコメント。
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