岩手・大槌町で、4K映像からAIで建機数を検知する現場管理システムを試行:現場管理(2/2 ページ)
映像進捗管理システム開発コンソーシアムは、大槌町の水門工事現場で、4Kカメラとクラウド、AIを組み合わせた建設現場の進捗管理システムを試験的に導入した。
富士ソフトが開発したAIによる建機の自動認識技術
現場見学会では、システムを活用した測量時間を削減する実演を行った。一例として、資材を置くためのヤード面積を知りたい場合は、これまで現場に職員2人が出向いて30分かけて測っていたが、システムでは映像上で距離や面積を算出してPCに表示するため、わずか数秒で完了する。
他の進捗管理システムの利点としては、録画専用機(NVR)を使わず、汎用NAS(LAN接続対応のディスク)を用いているので、低価格ながら4Kの録画を実現。小規模な現場でも導入するハードルが低い仕様としている。
通信ネットワークの構築では、無線LAN中継装置を置くことで300メートルの長距離映像伝送や有線LANを600メートル延ばすLAN延長装置の無線と有線を組み合わせ、広大な建設現場に通信網を敷いた。
富士ソフトによると、AIによる建機の自動認識技術は、現場に設置した高精細な4Kカメラから建機を検出する。時間ごとの検出数の推移で、工事進捗が分かり、的確な建機配置の計画にも使える。
画像認識にはAI(ディープラーニング)を採り入れ、現場の撮影画像にラベルを付与してダンプやバックホウ、ブルドーザーを検出するように学習させ、建機検出AIを生成。現場内にトラックが何台入ったか、平均滞留時間を係数にして、台数をカウントすることで可能にした。
建機ごとの台数は、時系列のグラフに出力することで、計画線との比較により、工事進捗の進みや遅れを一目で判別。例えば、正午の段階では、ダンプ搬入計画の台数よりも多いため、予定通りに進行していることを確認。その後、16時でも計画値を上回っているので、予定土量の運搬は完了すると予測することができ、適切なダンプの搬入計画が立てられる。
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