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中京圏初となる木造とRC造を組み合わせた木質耐火構造の中層マンションを建設、清水建設:プロジェクト(2/2 ページ)
自治体による「公共建築物など木材利用促進法」の運用強化などを背景に、今後、仕上げ材や構造体に木材を用いる建築物の増加が見込まれるという。このため、大手建設各社は現在、中・大規模における耐火建築の構造体に適用することを想定した木質耐火部材の開発を競っている。こういった市場の状況を踏まえて、清水建設は中・大規模の耐火建築の発注者に対して木質構造の採用を提案している。
CLTパネルで地震力の負担を軽減
各住戸内に原則2体ずつ配置する耐震壁57体は、木の直交集成板(CLTパネル)製で、建物の長辺方向に働く地震力の最大60%を負担する上、間仕切り兼仕上げ材としても機能する。構造部材の他にも、内装仕上げ材、妻側(つまがわ)の外壁にも木材を取り入れている。
今回の柱・梁の接合には、木質構造の架構技術「シミズ ハイウッド」を活用し、耐震性や耐火性、施工性に優れたPCa接合部材を用いている。シミズ ハイウッドは、PCa接合部材を介して、木質構造とRC造、あるいはS造といった異なる構造の柱同士や柱と梁を接合し、一体化することで、多様なニーズに対応。PCa接合部材は、火災時に高温となるS梁から木質柱への熱伝導と延焼を抑制する。
こうした取り組みが評価され、茶屋ヶ坂アパート建替工事のプロジェクトは国土交通省から2018年度の「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されている。
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