カジノ(IR)事業者の募集要項を大阪府市が全国初公表、6月に選定:IR
大阪府・市が人工島の夢洲に誘致を目指しているカジノを含む統合型リゾート(IR)で、施設の設置運営を行う事業者の募集を開始した。
大阪府と大阪市は、夢洲地区に誘致を検討しているカジノを含むIR(統合型リゾート)施設について2020年1月6日、設置運営事業者の公募を開始した。IR施設の募集要項を公表したのは、他の候補地に先駆けて全国初のことになる。
大阪万博前に一部、全面開業は2026年度末
スケジュールは、資格審査書類の受付期間が2020年1月6日〜2月14日で、結果は同年2月中に通知される。資格条件をクリアすれば4月中に提案書を提出し、6月には事業者が選出される。翌月の7月には府市と基本協定を結び、土地の引き渡しと工事着工は2021年秋ごろの見通し。
IR施設の開業は当初、2025年の大阪万博での需要を見込み、万博開催前までの施設開業としていたが、現時点で工期や工事条件が明確ではないため、全面開業は2026年度末までと設定した。ただ、募集要項では万博前も含めた部分開業や先行開業など幅を持たせ、早期のオープンを求めている。
IR施設の計画地は、大阪市が保有する大阪府大阪市此花区夢洲中1丁目の一部他で、敷地Aの約39万平方メートルと敷地Bの約10万平方メートルを合わせた約49万平方メートル。土地は定期借地契約を交わし、1平方メートル当たり月額428円の賃料で事業者が借り受ける。
施設の想定は、カジノをはじめ、収容人数6000人以上の国際会議場、10万平方メートル以上の展示会場、3000室以上の宿泊施設、日本の良さを発信する魅力増進施設などから成る複合施設。
また、IR事業に伴い、隣接地北側の敷地C(約2.6万平方メートル)にあたる臨港緑地も一体で整備や管理の提案を行うことができる。敷地Dの9万平方メートルについては、今回の対象には入っていないものの、将来的にIR区域を拡張するための予備地として確保している。
応募対象者は、IR事業を実施可能な単独企業または企業グループ。条件として、2009年以降で延べ床面積50万平方メートルのエンターテインメントやレジャー、スポーツ、商業、宿泊などで構成された複合施設、もしくは区域面積が約25ヘクタールで延べ床面積が25万平方メートル以上の複合施設の開発/運営を手掛けた実績が求められている。
今回の事業者公募に先立ち、大阪府と大阪市が民間企業から募った事業コンセプト(RFC:Request for Concept)では、2019年11月に3者から応募があったと公表している。
3者はグローバルでカジノの運営を担っているIRオペレーターのMGMリゾーツ・インターナショナル/オリックス、ギャラクシー・エンターテインメント・ジャパン、ゲンティン・シンガポール・リミテッドで、その提案について大阪府市は、「大阪IR基本構想(案)で示している想定事業モデルにおける投資規模(9300億円)を上回る提案がなされるなど、十分な参画・投資意欲が確認された」と総評している。
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