竹中工務店が再生医療の産業化を推進する新施設を開発:プロジェクト
現在、再生医療の現場では、産業化に向けて均一品質の確保やコストダウンを目指した生産設備の自動化が日々検討されており、ロボットでの自動培養、複数の設備を連結したラインで構成した生産設備が開発されている。一方、建物側には、生産設備の変化に合わせて柔軟に変更可能なバイオクリーン施設が望まれている。こういった状況を踏まえて、竹中工務店は11月、再生医療の産業化を推進する新施設「次世代CPC(細胞培養加工施設)コンセプトモデル」を開発した。
竹中工務店は2019年11月、近年急速にニーズが高まっている再生医療の産業化を推進する新施設「次世代CPC(細胞培養加工施設)コンセプトモデル」を開発した。細胞調製室や更衣室、パスルームを含む開発・生産諸室など、モジュール単位での柔軟な施設変更を実現しており、顧客のニーズに合わせてCPCの構築が進められる。
細胞調製室は清浄度グレードBからCまでの設定に対応
この施設は、扉の開閉や人の移動による気流の影響を評価し、再生医療などの製品・特定細胞加工物への汚染リスクを低減する安心・安全なバイオクリーン環境を作り上げられる。フレキシブルな施設変更や定期的な維持管理・補修により、施設の稼働率を上げられ、施設を長期的に使えトータルでコストを抑えられる。
また、臨床研究から生産までの将来における変化を見据え、中心となる細胞調製室は、大部屋から小部屋への分割や清浄度(医薬品GMP施設において規定されている室内清浄度の等級)グレードBからCまでの設定に応じている。
これらの切り替えを最小限の工事で実施でき、細胞調製室や更衣室、パスルームを含むモジュール単位での構成となっていおり、稼働エリアに影響なく独立した増設・改修に対応している。このモジュールは複数つなげての使用も容易で、ニーズに合わせた研究・生産エリアの拡張が簡単だ。
竹中工務店の技術研究所内に設置されている再生医療・創薬分野の研究拠点「バイオクリーン・バイオセーフティ実験施設」で実施した気流可視化実験などによる独自の実測データ・エビデンスも活用する。
このデータをベースに、再生医療などの製品・特定細胞加工物への汚染リスクを低減する高度なバイオクリーン環境を醸成する。運用面においても培養操作と行動のモニタリングによる製品品質への影響評価や立地、建物、品質、セキュリティの多方面から施設リスクを評価するシステムなども利用する。
さらに、実験施設で培った気密性能確保・検証技術を適用し、長期間に渡りメンテナンスしながらクリーン環境を維持する仕組みを提供するという。細胞調製室の周囲には、メンテナンススペースを設けており、定期的な維持管理・補修や地震後の影響確認もしやすく、部屋免震の適用により重要な製品の地震リスクも減らす。
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