順天堂医院の新棟、日本初のLEED「ヘルスケア」認証を取得:省エネビル
2016年4月に竣工した「順天堂医院」(文京区本郷)のB棟が、国際的な建築物の環境評価制度「LEED」のヘルスケア部門において、ゴールド認証を取得した。LEEDのヘルスケア部門における認証取得は日本初の事例だ。
順天堂と清水建設は2016年10月12日、同年4月に竣工した「順天堂医院 B棟」(文京区本郷)が、「LEED-Healthcare」においてゴールド認証を取得したと発表した。LEEDのHealthcare部門における認証取得は国内初の事例で、世界でも36件しか取得事例がないという(図1)。
「LEED」は米グリーンビルディング協会が実施している建築物環境性能の国際認証制度。新築ビル、住宅、学校など、対象ごとに複数の認定カテゴリーが儲けられており、認証のランクも標準認証、シルバー、ゴールド、プラチナの4段階分かれる。今回順天堂医院 B棟が取得した「Healthcare」は医療施設を対象としたものだ。Healthcare版は2011年に新設された認証で、これまで日本では取得事例がなかった。
Healthcare版の認証取得では、設計終了時に設計審査、施工終了時に建設審査をそれぞれ受審する。審査の対象分野は「持続可能な立地」「水効率」「エネルギー・大気」「資材・資源」「室内環境品質」の主要5分野と、「設計革新性」「地域特性への対応」からなる連動2分野の合計7分野。
LEEDは米国発の認証制度で、一部日本の基準に合致しない審査項目も含まれる。そこで今回のB棟では、日本の基準に即した審査項目を取捨選択のうえ受審した。その結果、審査項目をほぼ予定通りクリアし、110点満点中64点を獲得。ゴールド認証を取得した。
B棟が評価された点としては、清水建設独自の輻射空調システムによる省エネと快適性向上、地震時に各種設備を継続稼働させるBCP(事業継続計画)の重点項目の他、医療機器洗浄・設備用水まで含めた節水、屋上庭園などによる敷地緑化、リサイクル建材の採用、施工中の室内環境管理などを挙げている。設計施工一括請負による意匠・構造・設備・施工の緊密連携性も評価された。
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