大阪・中之島に“未来医療"の創造・実践・共有を実現する2つのセンターとフォーラム、2023年竣工:再開発
大阪市は2019年2月7日、中之島4丁目用地を対象にした「未来医療国際拠点整備・運営事業」に関する開発事業者を募集するプロポーザルで、日本生命保険を代表とするグループを優先交渉権者に決めたことを公表した。
大阪市は、中之島4丁目用地で「未来医療国際拠点整備・運営事業」に関する開発事業者を募集するプロポーザルを行い、日本生命保険を代表とするグループを優先交渉権者に決めた。
未来医療に関わる複合研究施設や病院、フォーラムを整備
優先交渉権者に選ばれたのは、日本生命保険を代表とする京阪ホールディングス、関電不動産開発から成るグループ。開発事業は、70年間の一般定期借地権の契約を交わして進められる。
中之島4丁目用地の再開発に関しては、大阪府・大阪市や経済界による検討協議会で、再生医療国際拠点の実現に向け「未来医療国際拠点基本計画(案)」を策定。その中で、未来医療の臨床研究から実用化・産業化までを一貫して進める国際的な拠点を整備することが求められている。
日本生命保険グループの提案では、新拠点を「中之島Multi-linkS」と銘打ち、未来医療の創造をけん引する「R&Dセンター」、実践をけん引する「MEDセンター」、共有を推進する「国際フォーラム」の3施設を2023年10月の竣工を目標に新設する。
建築概要では、全体で敷地面積8600平方メートルに、建築面積5247平方メートル、延べ床面積5万7799平方メートルのR&Dセンターと隣接するMEDセンターを建設する。
R&Dセンターは、7〜16階に延べ1万4600平方メートルの企業や研究機関の入居を想定した「リエゾンオフィス」を整備。6階以下は延べ4100平方メートルの「研究開発支援施設群」、3階には延べ500平方メートルのサロンなどの「交流促進施設」を配置する。
MEDセンターは、5階以上を病床数170床で延べ1万2000平方メートルの「病院」とする。4階には、高度健診センターを含む延べ3600平方メートルの「クリニック」。3階には、病院やクリニックと連携した受診者の総合的な健康管理を支援する「高度健診センター」をそれぞれ設置する。
両棟の1・2階は、コミュニティーカフェや企業ショールームの「交流促進施設(1200平方メートル)」と「カンファレンスセンター(1700平方メートル)」で構成する「中之島国際フォーラム」とし、国際的なイベントや学会・会議を開催する。
施設計画では、北東側外周部に面し、2階から5階までをつなぐ、大規模な“吹抜空間”を設ける。一覧性の高い吹抜空間では、3階から5階までで展開されるさまざまな創造活動を五感で感じることができ、異業種間の人と情報の往来による活性化を見込む。
中之島西部地区では、歩行者ネットワーク公共空間の整備が進捗中で、この計画途上にあたる開発地では、地上1階、2階デッキのそれぞれで、東西南北への歩行者ネットワークを構築する。2階デッキには、大阪中之島美術館からつながる「中央緑道」を整備し、中之島3丁目街区から西側隣接市有地までを接続。なにわ筋線新駅や中之島5丁目にも至る中之島地区の回遊性向上をもたらす、歩中央緑道に面して、イベント利用も可能なコミュニティーカフェや企業ショールームを配する。
建物内においても、屋内で東西に貫通する「コリドー」を設け、来街者の各施設への円滑な誘導を図る。コリドー沿いに配置されたコミュニティーカフェや企業ショールーム、交流空間が来街者を施設内に呼び込み、滞留・滞在を促す計画だ。
今後、日本生命保険グループでは、大阪市との間で、拠点の整備・開発事業に関する事業計画書の作成、基本合意書の締結に向けて、協議を進めていくとしている。
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