工期わずか10日間、ダクト工事不要で既存病院にも省スペースで設置可能なクリーンルーム
ダイダンは、再生医療向けに細胞を培養・加工するためのクリーンルーム「CPF(Cell Processing Facility:細胞培養加工施設)」をユニット化した「オールインワンCPユニット(CP:Cell Processing)」を開発した。既設の医療施設にも短期間で導入でき、病院などの治療用細胞を培養・加工するクリーンルームをコンパクトかつ安価に構築することが可能となる。
ダイダンは、再生医療向けに細胞を培養・加工するためのクリーンルーム施設をユニット化し、既存病院やクリニックへの導入が短期かつ省スペースの「オールインワンCP(CP: Cell Processing)ユニット」を開発した。
2019年度内に既存病院やクリニックへ3台の導入を目標に掲げる
オールインワンCPユニットは、細胞培養作業するためクリーン度を要求される「ワークエリア」、作業者のサポートを行う「サポートエリア」、資材置き場の「サプライエリア」、パッケージエアコンが備えられている「メンテナンス室」の他、更衣室、パスボックスで構成。気流によるエアバリア技術を適用しており、異なる清浄度グレード間の扉が無く、スムーズな動線が確保されている。再生医療を行う、クリニックや病院へのクリーン環境の増設で採用を見込む。
ダイダンはこれまでに、次世代CPFを搭載した再生医療関連のオープンイノベーション施設として「セラボ殿町」を開設。以来、多くの医師や研究者から、細胞を培養・加工するためのクリーン環境について、さまざまな要望を受けてきたという。
そうしたニーズに応える形で、細胞培養・加工作業を行う安全キャビネットまわりの環境を手軽にクリーン化できる「エアバリアブース」を2015年に開発。その後も、エアバリアブースと、カネカ、テルモBCTの技術を採り入れ、エアバリアブースと密閉式の自動培養装置を組み合わせたクリーンルームが無い一般環境でも、治療用の細胞培養が可能な「スマートCPユニット」を2017年から展開してきた。
しかし、医師の主導のもと再生医療向けに細胞を培養・加工するには、エアバリアブースだけでなく、CPFと呼ばれるクリーンルーム施設が必要とされており、CPFを構築するスペースやコストが障壁となって、既設の病院やクリニックへの導入はなかなか進まなかった。
課題解決のため、ダイダンは、いままで培ってきた気流制御によるクリーン化技術を発展させ、CPFをユニット化して簡易に省スペースで構築できるオールインワンCPユニットを開発するに至った。
このユニットは、再生医療用のクリーンルームである細胞培養加工施設(CPF)に必要とされる“更衣室”から“細胞調製室”までの一連の機能を1台に集約。設置時にダクト工事が不要で、既存施設へも導入でき、工期は10日間程度で済む。CPFを一から構築する場合に比べ、病院向けの最少サイズで70%削減した省スペースに収まる。
サイズは5000(幅)×2300(高さ)×4500(奥行き)mm(ミリ)。予定価格は、工事費は別途で1920万円。
ダイダンでは、再生医療を実施するクリニックや病院でのクリーン環境増設をターゲットに、2019年度中で3台の販売を目指している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- CADオペ・事務員を共有する「現場支援リモートチーム」結成、3次元CADとWeb会議で“実感のある働き方改革”
ダイダンは、建設現場におけるICTを活用した“実感ある働き方改革”を推進している。各支店や各現場にこれまで散らばっていたCADオペレータ・事務員などを各支店の部長レベルで、共有して忙しさに応じて相互に支援し合う「現場支援リモートチーム」を立ち上げた。Web会議やクラウドサーバ、共通CADソフトなどで業務をフォローし、現場の省人化を実現している。 - どのビルも自分好みの環境に? IoTシステムの実証開始
電通国際情報サービス(ISID)とダイダンは、IoTを活用したスマートビル制御システムの実証実験を開始すると発表した。2017年5月17日〜7月末で、その有用性と課題を検証するという。 - ダイダン、20秒で取付け可能な養生カバー「サッとカバー」を開発、10%以上の作業負荷軽減
ダイダンは、天井カセットパッケージエアコン向けの養生カバー「サッとカバー」を開発した。サッとカバーであれば、施工時間を短縮でき、カバー1枚の価格も500円と安価で、養生をし直す作業費の1回分よりもコストを抑えることができるという。 - 照明・空調・防災設備機能を1つに集約、ZEB化に貢献する省エネユニット
総合設備工事のダイダンは、オフィスに必要な照明・空調・防災などの設備機能を集約した一体型のユニット「CEILING FREE(シーリングフリー)」を開発した。これまで個別に設置していた機器を一体化することで施工工期の短縮に貢献する他、ビルのZEB化のポイントとなる照明・空調エネルギーの削減につながる技術を採用している。