連載
大卒・院卒の建設業界への技術者就職はどうなっているか、文科省データから探る:建設業の人材動向レポート(15)(3/3 ページ)
本連載では、ヒューマンタッチ総研が独自に調査した建設業における人材動向をレポートする。今回は、大学などを卒業して建設技術者として就職する人の動向をレポートする。
■土木建築工学専攻以外で、建設技術者として就職する大学新卒者が増加
工学部卒業生以外で建設技術者として就職する学生数の推移を見ると、2012年の1074人から2018年には2722人(2012年比153.4%増)となり、比率も13.1%から21.6%に上昇している(図表5)。
厳しい建設技術者不足の中で、建設業各社が土木建築工学を専攻した卒業生以外にもターゲットを広げて採用活動をおこなっていることが推測される。
■まとめ
文部科学省の「学校基本調査」のデータから、建設技術者の大きな供給源である土木建築工学を専攻した大学卒業生数、大学院修士課程修了者数はほとんど増加していないが、大学を卒業して建設技術者として就職する人は大幅に増加していることが分かった。
その要因を探ると、土木建築工学専攻以外の卒業生で、建設技術者として就職する人が増加していることがあり、厳しい建設技術者不足の中、建設業各社が土木建築工学を専攻した卒業生以外にもターゲットを広げて、採用活動を行っていることが推測される。
著者Profile
ヒューマンタッチ総研(所長:高本和幸)
ヒューマンタッチ総研は、ヒューマンホールディングスの事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチが運営する建設業界に特化した人材動向/市場動向/未来予測などの調査・分析を行うシンクタンク。独自調査レポートやマンスリーレポート、建設ICTの最新ソリューションを紹介するセミナーなど、建設業界に関わるさまざまな情報発信を行っている。
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