フジタと日本ヒューム、施工精度と作業効率を高める「FN継手」を開発:新工法
フジタと日本ヒュームは、RCセグメントの組み立て施工精度を高め、作業効率を向上させるワンパス型セグメント継手「FN継手」を共同開発した。実証実験後、実施工に適用した結果、従来のワンパス型セグメント継手よりも施工時に生じる変形が少なく、高い真円度・施工精度を維持できることを確認した。
フジタは2019年8月、ワンパス型セグメント継手「FN(FasteNing)継手」を下水道シールドトンネル工事の一部区間に適用したことを発表した。FN継手は、同社が日本ヒュームと共同開発し、特許を取得している。
FN継手の施工では、T型金物とT型金物受け部に弾性バネを配置したC型金物を使用。T型金物をトンネル軸方向にスライド嵌合(かんごう)することで、セグメント間の締結力を発生させながらRCセグメントの組み立てを行う。
FN継手は、ボルトによる締め付け作業を要しないため施工の自動化につながるほか、従来のワンパス型セグメント継手よりも施工時に生じる変形が少なく、高い真円度・施工精度を維持できることから、内面平滑なトンネルを構築することができ、二次覆工の省略が可能となる。
セグメント組み立て作業の省力化を目的として開発されてきた従来の継手構造には、真円度の低下による目開き・目違いや、挿入時の応力集中によるセグメントの欠損といった課題があった。また、ボルト締め付けによって締結力を生み出す従来の継手の場合、特殊な構造故に生産コストが高価になる傾向があった。FN継手の開発にあたっては、これらの問題を踏まえて、より簡易な構造で締結力を確保しつつ、真円度低下やセグメント欠損を予防することを目指したという。
実大のRCセグメントを使ったFN継手の実証実験では、一般的なワンパス型セグメント継手よりもセグメント組み立て後の変形が15分の1程度に低減。今回FN継手を初適用した下水道シールドトンネル工事の実施工でも、シールドの内径2400ミリに対して組み立て時の内空変形量が1ミリに抑えられ、真円度の高いRCセグメントの組み立てが可能であることを確認した。
今後についてフジタは、FN継手をRCセグメントによるシールドトンネル工事へ幅広く適用するとしている。
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