“フルハーネス時代”の「はしごの安全対策」を3Mが提案、わずか30分で設置完了:建設現場の墜落防止対策(3/3 ページ)
“フルハーネス型”墜落制止用器具(旧名称:安全帯)の原則使用などを盛り込んだ関係政省令が2019年2月1日施行された。国内でもフルハーネス標準の時代に入ったことを踏まえ、スリーエム ジャパンは新たな墜落防止製品として、はしごに取り付けて、Dリング付きのフルハーネスと併用する垂直親綱シリーズを発売する。グローバルでは、80年以上もの歴史がある設備側の安全対策製品を市場に投入することで、フルハーネスだけではない、建設現場におけるトータルソリューションでの安全確保を提案する。
スムーズなはしご昇降と万一の安全性を両立
3つの特徴のうち、安全性では、独自技術の長さ23センチのスリーブと、小型ショックアブソーバーで、万一の墜落時に短い落下距離で衝撃を軽減。トップブラケットにも衝撃吸収の機能を持たせ、落下のショックを抑え、スリットが入っている部分は一度の衝撃でひしゃげるため、保護機能が損なわれていないかどうかを判別できるようになっている。
下山氏は作業性については、「フルハーネスのDリングにスリーブを引っ掛けることで、従来方法のランヤード二丁掛けのように、左右で架け替えて昇る重労働ではなく、両手が塞(ふさ)がれず、はしごを昇ることに集中できる。縦のケーブルを上下するスリーブの動きはスムーズで、昇り降りでは引っ掛かりにくいが、落ちた際には即時にロックされる」と解説した。
はしごへの取り付け施工は、ブラケットをUボルトで絞め、ケーブルを差し込み、ケーブル長さを調整するだけ。一般的な10メートル以下のものであれば、1セットおおよそ30分程度で完了する。特別な技術が不要なので、道路管理者や工務担当者でも設置できる。「人手不足が深刻化する中、特別な資格が要らず、短時間の施工で済むため、現実的に導入しやすい安全対策の製品として勧めていきたい」(下山氏)。
新製品の3M DBI-サラ Lad-Saf 垂直親綱シリーズのラインアップは、ブラケットセットの素材(亜鉛メッキ鋼/ステンレス鋼)、ケーブルの素材と長さ(12/21/30メートル、亜鉛メッキ鋼/ステンレス鋼)、最大2人までのスリーブ数から用途に応じて選択する。現場に合わせて、スリーブを個人に支給するか、はしごそのものに常時取り付けておくか、どちらの運用方法にも応じられる。メーカー希望小売り価格は、組み合わせにより異なるが、9万8000円〜18万9000円(税別)。
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