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“物流クライシス”を全プレイヤーが関わるプラットフォームで解決、大和ハウスらが支援:物流施設のデジタル変革(3/3 ページ)
大和ハウスや三井不動産らとパートナーを結ぶスタートアップ企業のHacobuは、物流の現場が抱える社会問題解消のため、IoTとクラウドを統合した物流情報プラットフォームの開発を本格化させる。
車両の待機時間が3分の1に減少
アスクルでは、執行役員 フューチャープラットフォームアーキテクチャ ECR本部プロキュアメント統括部長・桜井秀雄氏が、物流を制する者はeコーマスを制するとして、「在庫、ピッキング、梱包、出荷は自動化が進んでいるが、入荷や検品はいまだに紙ベースの管理や人力頼み。対策が後手に回ることが多く、クレームや納品拒否が発生して、他社に後れを取ることがあった」。
MOVOの採用によって、「運送車の待機時間は3分の1に減り、1時間以上待つケースは4分の1にまで改善された。副次的効果として、作業員が物流施設に入ってくる荷物の先読みも可能になり、その結果、入荷処理件数が増え、生産性の向上がもたらされた。また、2019年9月に千葉県で甚大な被害をもたらした台風の際には、トラックの入荷状況を常時把握することで、素早く対策を講じられた」とメリットを説明した。
新たなパートナーとなった三井不動産では、常務執行役員 ロジスティクス本部長・三木孝行氏は、「HacobuのITの知見や佐々木社長の社会課題を解決する意欲に共感を抱き、単なる業務提携ではなく、資金業務提携を結ぶに至った。当社ではこれから着工する物件も含め、全ての施設にMOVOを導入していく。中長期的には、ビッグデータを活用して首都圏でのトラック導線や交通混雑の緩和など、新たなソリューションをテナント企業に還元していくつもりだ」と抱負を語った。
左から、三井不動産 常務執行役員 ロジスティクス本部長・三木孝行氏、アスクル 執行役員 フューチャープラットフォームアーキテクチャ ECR本部 プロキュアメント 統括部長・桜井秀雄氏、Hacobu 代表取締役社長・佐々木太郎氏(中央)、ソニー VP Sony Innovation Fund Chief Investment Manager・土川元氏、大和ハウス工業 取締役常務執行役員 建築事業担当 浦川竜哉氏
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