東急不動産が新本社で実証実験、働き方改革を実現するオフィスを検証:スマートオフィス(3/3 ページ)
東急不動産ホールディングスと東急不動産は、2019年8月14日から営業を開始した東京都渋谷区のオフィスビル「渋谷ソラスタ」内の新本社で、顔認証での入退館やアロマを用いた会議など、先進的な取り組みを進めている。同年10月1日からは、生産性向上に寄与する5つの実証実験を行い、優れたワークプレースを探求する。
脈波の測定に国内初導入の瞑想ポッドを活用、
自律神経測定の実証実験は、従業員がウェアラブル心拍センサーを装着した状態で、通常の仕事の合間に、指定のスペースで運動を行い、その間の心拍変動を測ることで、フィットネスによるリラックス効果を“見える化”し、心身の健康や生産性を高める職場の構築に有効利用する。
脈波測定の実証実験では、米・フロリダ州に本社を構えるオープンシードが開発した瞑想向け機器「メディテーションポッド」を国内初導入する。メディテーションポッドは、ヒーリング効果のあるLED照明や自然で快適な気流を発生する静音ファン、周囲の光と音を吸収するフェルト製の外壁などを搭載しており高いリラクゼーション能力を持つという。機体サイズは225(W)×225(D)×265(H)センチで、最大3人まで搭乗可能。
実証実験では、メディテーションポッド内や一般環境での瞑想の前後と通常時の心拍を自律神経計測機で指先の血流を測定することで確かめ、瞑想が心の健康状態に与える影響を検証し、居心地の良いワークプレイスの創出に生かす。
東急不動産 都市事業ユニット 都市事業本部 イノベーション推進グループ 主任の藤井秀太氏は、2019年9月30日に開催された記者発表会で、「働き方改革関連法案の施行以降、多くの企業でさまざまな取り組みを推進しているが、“効果を感じられない”や“ノウハウが不足している”という声を聞く機会が少なくない。制度や環境が整備される中で、優れた職場づくりに向けた新たな試みを定量的に測定する方法がないことが課題となっているためだ。そういった課題の解消を目指し、東急不動産ホールディングスでは、実証実験を行い、働き方改革を具現化する施策の効果を“見える化”する」と語った。
また、「これまでのオフィスビルというハードの提供だけでなく、働き方の刷新を支援する情報の発信というソフトも提案し、顧客のニーズに応えていく。2019年10月1日からスタートする新本社の“ライブオフィス化”で、ユーザーに従業員が勤務する職場や実証実験を見学してもらい、それぞれに合ったオフィスを提案する」と補足した。
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