5年30棟を計画する三菱地所のコンパクトオフィスビル「CIRCLES」始動、IoT導入で共用部の混雑状況を確認:スマートオフィス
三菱地所は、シェアオフィスなどのスモールオフィスが手狭になった成長企業向けに、高いデザイン性と快適性を兼ね備えたコンパクトオフィスビル「CIRCLES(サークルズ)」を展開する。シリーズ展開により、三菱地所のオフィスラインアップ充実を図り、新たなエリア・顧客層に訴求していく。
三菱地所は、シェアオフィスなどのスモールオフィスが手狭になった成長企業向けに、高いデザイン性と快適性を兼ね備えたコンパクトオフィス「CIRCLES(サークルズ)」のシリーズを展開していく。
サークルズは、敷地面積100坪前後の土地に、ワンフロア30〜100坪前後のコンパクトオフィスビルを建て、東京都心部を中心に年間3〜5棟を見込むオフィスシリーズ。デザインディレクションは、建築家/谷尻誠氏・吉田愛氏が率いる「SUPPOSE DESIGNOFFICE(サポーズデザインオフィス)が担当。建築・インテリア設計からロゴ・Webデザインまで、共同で開発を進めていく。
“集まって働くこと”の生産性や快適性向上をサポートする施設設備
まず初弾として、「(仮称)港区東新橋二丁目計画」「(仮称)中央区銀座三丁目計画」「(仮称)中央区日本橋馬喰町一丁目計画」の3プロジェクトに着手した。
シリーズ名称は、“集まって働くこと”の生産性や快適性を向上させるサポートと位置付け、「人が集まる“車座・円座”」を意味するサークルズとした。ロゴイメージは、「多様な個性があつまって輪になる」+「広がり、余白、可能性」+「動きのあるにぎやかなオフィス」をビジュアル化。“多様な文字”がCIRCLE を作っていきながらも、CIRCLE として完成しない、この先何かが起こりそうな予感、余白、可能性を表現した。
ロゴマークは、ベーシックを設定しつつもこれに限定せずに、オフィス内のデジタルサイネージやWeb上でランダムに構成させて展開する。
サービスオフィスなどが普及する一方で、サービスオフィスでは手狭になった成長企業にとっては、生産性向上に有効なデザイン性と快適性を兼ね備えた中小規模オフィス空間の選択肢は現状では少ない。
また、ここ最近の働き方改革の流れで、テレワーク、サテライトオフィス、コワーキングスペースの普及や固定の場所・時間に縛られないワークスタイルが浸透しつつある。そうした中では、逆にミーティングや共同作業など人が一時的に同じ場所で働く際の重要度が高まっていることがあり、サークルズでは“集まって働くこと”の生産性や快適性向上をサポートする空間の創出を主眼に置いている。
具体的には建物内に、インナーバルコニー・屋上テラス・ミーティングスペース・ラウンジなどを設け、ビル内にさまざまなCIRCLEが生まれる仕掛けを導入。まちとオフィスビルをつなぐ、カフェとラウンジが一体化した施設なども整備して新たな人と人とのつながりを促す。
他にも、休憩スペースや集中スペースとして利用できる「インナーバルコニー」、シェアキッチンを併設した「屋上テラス」、エントランス併設の「ラウンジ」、入居テナント専用の「ミーティングスペース」なども設ける。
フロアも階だけによる分割ではなく、広いバルコニーなどフロアごとで変化を加える以外にも、即入居可能な家具付きフロアや最低限の家具を備えたフロア、独自内装に仕上げられる家具なしフロアなど、多様な選択肢を用意している。
IoT・ICTも導入し、テナント専用サイトにアクセスしてスマートフォンやタブレットから、空調や照明の操作が行える。端末上では、会議室やラウンジ、テラスといったシェアスペースの混み具合を確認することができ、行っても座る場所が無いなどの無駄な移動が無くなる。さらにシステムを通じて、管理者からの情報提供や管理者への連絡、共用会議室の予約、さらにはカフェの注文まで、将来的な実装を見据えている。
サークルズの展開については、既に都内で複数の用地を取得しており、都心5区エリアを中心に、年間5棟前後、5年間で合計30棟を目標に開発を進めていく。
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