省エネ評価で5つ星の第1号、年間のエネルギー消費量は標準値の14%:スマートオフィス
国土交通省が2014年4月から開始した建築物の省エネルギー表示制度で初めて最高ランクの5つ星のビルが決まった。大成建設が5月に横浜市で完成させた「ZEB実証棟」で、年間のエネルギー消費量は標準的なビルと比べて14%に低減すると評価された。
大成建設の「ZEB実証棟」は地上3階建ての鉄筋コンクリート造りで、独自に開発した照明や空調の制御システムのほか、壁面に太陽光パネルを設置して発電も可能にしている(図1)。エネルギーの消費量から生成量を引くとゼロになる「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」のモデルケースとして建設した。
このZEB実証棟が国土交通省の新制度「BELS(Building Energy-efficiency Labeling System)」で最高ランクの5つ星を初めて獲得した。BELSは4月25日に始まった建築物の省エネルギー表示制度である。ビルの単位面積あたりの年間のエネルギー消費量を標準値と比較して、1.1倍以下であれば認定を受けることができる(図2)。太陽光などによる発電量を差し引くことで、実質的なエネルギー消費量を計算して評価する。
最高ランクの5つ星はエネルギー消費量が標準値の0.5倍以下になることが条件だが、大成建設のZEB実証棟は0.14倍の評価を受けた。ただしBELSで使用するエネルギー消費量はビルの設計仕様をもとに算定するため、実際の消費量ではない。あくまで設備に対する評価であり、運用による節電対策は考慮に入れない。
ZEB実証棟では年間のエネルギー収支をBELSの評価よりも少ないゼロにする目標を掲げている(図3)。一般的なビルと比べてエネルギーの消費量を25%まで減らしたうえで、残りの25%を太陽光パネルや燃料電池による発電量でカバーする計画だ。
大成建設は新たに開発する省エネのシステムを順次ZEB実証棟に導入して効果を検証する。その1つが無線を使った照明制御システムで、室内に設置したタッチパネルから照明のオン/オフのほかに明るさを調整することができる(図4)。同様のシステムを空調にも展開する予定で、ビルの中で働く人たちが快適さを損なわずにエネルギー消費量をゼロに近づけていく。
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