三井不動産、ウェットラボ一体化した「賃貸ラボ&オフィス」事業開始:スマートオフィス
三井不動産は、オフィスビル、住宅、商業施設などに続く新しいアセットクラスの不動産事業として、ライフサイエンス領域のイノベーション創出支援事業「賃貸ラボ&オフィス」事業を開始する。「三井のラボ&オフィス」と称する同事業では、ライフサイエンス領域に求められるハードとソフトを一体的に提供。ライフサイエンス領域の研究開発環境の向上とイノベーション創出を目指す。
三井不動産は2019年5月30日、ライフサイエンス領域のイノベーション事業の一環として「賃貸ラボ&オフィス」事業(三井のラボ&オフィス、以下MLO)を開始することを明らかにした。同事業のオフィスは江戸川区北葛西に置かれる「三井リンクラボ葛西(仮称)」と江東区新木場に置かれる「三井リンクラボ新木場(仮称)」の2つで、これまで日本橋を中心に推進してきた同事業の拠点が計3カ所に拡充する。
MLOはウェットラボとオフィスが一体化した施設の賃貸事業を主要事業とする。ウェットラボとは液体や気体などを使い実験を行う場所で、創薬や再生医療研究には欠かせない施設。MLOのウェットラボはBSL2(※)に対応しており、幅広い研究が可能となる。
ウェットラボは都心近接地に数が少なく、今回のMLO事業によって研究開発環境の選択肢が増える。都心近接という利便性を生かして、大学や医療機関との共同研究、研究者の雇用、資金提供者との交流機会増加、職住近接による働き方改革といった波及効果もある。
また、ラボとオフィスの一体化による研究者同士のコミュニケーションの活性化や、これまで構築してきたライフサイエンス領域のネットワークの活用などによって、異業種を含む幅広い研究者がMLOに集合。新たなオープンイノベーション創出の場として機能することも期待できるという。
三井不動産のライフサイエンスイノベーション事業には、ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパンとの連携で行う「コミュニティーの構築」、ライフサイエンス系ベンチャー企業への投資を行う「資金の提供」、そして日本橋ライフサイエンスビルシリーズや東大アントレプレナーラボの運営受託などを行う「場の整備」という3つの骨子がある。MLOは「場の整備」事業の一環に位置付けられる。
三井不動産では、「2019年4月からは、『ライフサイエンス・イノベーション推進室』を『ライフサイエンス・イノベーション推進部』に改組し、各街づくり部門、各商品本部とさらなる連携を図り、事業エリアを拡大していく。将来は各拠点間のネットワーク化を図り、日本橋・葛西・新木場を結ぶ研究開発環境における日本型エコシステムの形成を図る」としている。
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