HPが室内装飾やソフトサイネージのデジタルプリントに本格参入、HP Stitch S プリンタ:製品動向(2/2 ページ)
日本HPは、最新のデジタルプリントソリューションを搭載した昇華型プリンタのHP Stitch S シリーズを発表した。新機種の高生産性や色の再現性を武器に、海外も含めデジタル化が大幅に遅れているテキスタイル印刷市場で、室内装飾やソフトサイネージ(布の屋外広告)のデジタルプリントといった新たな市場創出を目指す。
国内テキスタイル印刷市場のデジタル化を推進
多数の新技術を採用しているHP Stitch S シリーズは、色合わせの手間の削減、印刷のやり直し原因となるコックリング(メディアの波打ち)やバンディング(白スジや縞)を防ぐ出力安定性、タイトな納期への対応といった印刷現場が求める数々の課題解決を現実のものとする。たとえ昇華プリンタを扱ったことが無い、印刷業界外の新規ユーザーでも、メディアロスや作業時間を抑えて、オペレータ1人でプリント作業が行える。
発売に先立ち、東京・江東区の日本HP本社で開催された発表会において、日本HP 社長執行役員・岡隆史氏は、「今回発売するHP Stitch S シリーズは、当社で初のテキスタイルプリンタとなる。1984年に世界で初めてサーマルインクジェットプリンタを世に送り出して以来、臭いや健康に影響しない環境性と耐候性に優れた2008年のHP Latexインク、2016年の3Dプリンタと、これまで培ってきたインクジェットテクノロジー発展の歴史をこのプリンタに結集させた」とその意義を説明。
テキスタイル市場については、「世界的に見ても、デジタル化がまだまだ遅れいる領域。メーカーの使命として、国内ユーザーの新規事業を後押しすべく、新機種で新たなマーケットを共に創っていきたい」と展望を語った。
Latexビジネス本部 本部長の秋山裕之氏は販売戦略に関して、「テキスタイル業界のデジタルプリンティング市場はHP調べで、2023年に約2850億円の規模まで成長すると予測している。(近年のトレンドとしては)リードタイムとパーソナライズがキーワード。これまでプリントサービスプロバイダーにあった売掛負担や長期在庫リスクが、SNSの発達により、消費者と生産者がオンデマンドで、ダイレクトにつながるようになったことで解消され、多品種・小ロットの印刷ニーズは高まりつつある。壁紙や板材の印刷など内装材印刷に適する環境に優しいHP Latexプリンタとともに、販売チャンネルを共有しつつ、今後加速するであろう多品種・小ロット向けの屋内装飾の領域でも提案していく」と語った。
なお、HP Stitch S シリーズの一般公開は、2019年8月29〜31日に東京ビッグサイト・青海展示棟Aホールで開催される国内最大の広告資機材展「サイン&ディスプレイショウ2019」で初披露される。※「サイン&ディスプレイショウ2019」は8月31日に閉幕しました。
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