飛島建設がIoT開発基盤を構築、初弾で入坑管理と建機接触防止システムを実用化:山岳トンネル工事(3/3 ページ)
飛島建設とマック、エム・シー・エスは、山岳トンネル工事向けのIoTプラットフォーム「IoT-Smart-CIP」を開発した。これにより、IoTのシステム開発がスピードアップし、これまで複数のシステムで管理されていたバラバラな情報が統合的に分析可能となるため、より合理的な現場管理やビッグデータ化に伴うAI技術を活用した生産性向上が見込める。
入坑管理システムと同一の機器でデータ連携
一方の建設機械接近警告システムは、トンネルの狭い空間で発生することが少なくない、建設機械と作業員の接触事故を抑止する。入坑管理システムと同じBLEビーコンとIoTゲートウェイを用い、作業員が持つビーコンが発する電波の強度から、作業員と建機の互いの距離を推定し、設定距離以下になると警告する仕組み。
システムを導入した工事では、建機が大型の場合は、電波の障害とならないようにするため、マシンの前後左右4カ所にセンサーを搭載させた。また、運転手のビーコンが誤って反応しない様に、運転席上部に専用のセンサーを設置し、自動的に警告対象から除外する工夫も凝らした。
両システムでは、同一のビーコンを利用しているため、新たに作業員を登録する必要が無く、建機に接近する作業者の氏名は自動で表示されるという。
飛島建設では、入坑管理システムと警告システムを「BLEを用いた入坑者見える化システム:VisiBLE(ビジブル)」として販売する予定だ。次のステップでは、バイタルデータをベースにした体調管理をはじめ、機械稼働時間や負荷情報による設備メンテナンス管理といったシステム開発の他、その先には管理データとAIを組み合わせた安全性・生産性向上に結び付くシステムの構築を目指すとしている。
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