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自治体に標識の施設台帳が無い?ドラレコ映像からAIで自動作成:メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019(2/2 ページ)
古河電工は、AIを活用してドライブレコーダーで撮影した映像から、道路上の道路標識や照明などを判定し、施設台帳を自動で作成して、そのデータを基にARで現場点検を行うシステムを2019年度内の提供開始を目指して開発を進めている。これまでに日光市で試験導入したところ、作業時間が10分の1以下に短縮されたという。
日光市では点検作業の省力化が実証された
点検手順は、自治体の担当者が運転する車両で走行中に、市販のドライブレコーダーで道路上の付属物を記録。撮影した映像から、ゼンリンデータコムのAIで道路附属物を特定し、全景写真と、GPSによる位置データを出力することで、自動で施設台帳が作成される仕組みだ。
現場での本点検時には、タブレット端末上の道路附属物点検支援システムにデータを読み込み、ARで対象物を特定して、点検項目に沿って点検する。撮影した写真は、自動でフォルダに振り分けられ、国土地理院の地図も挿入された点検調書が出来上がる。
また、自治体が最初に走らせる車両は、ゴミ収集車や道路パトロールカーと連携することで、台帳作成のためだけに車両を走らせることも無くなる。
実証を行った日光市では、2006年に合併をした際に、管理道路の施設台帳が無い上、1〜2人しか担当者がいないなどの問題を抱えていた。民間活用に力を入れているPPP(公民連携)に基づき、維持管理システムを導入し、これまで存在しなかった施設台帳が車を走らせるだけで作成でき、手作業で行う従来点検と比較すると、約10分の1以下の時間で完了することが確認されたという。
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