自治体に標識の施設台帳が無い?ドラレコ映像からAIで自動作成:メンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019(1/2 ページ)
古河電工は、AIを活用してドライブレコーダーで撮影した映像から、道路上の道路標識や照明などを判定し、施設台帳を自動で作成して、そのデータを基にARで現場点検を行うシステムを2019年度内の提供開始を目指して開発を進めている。これまでに日光市で試験導入したところ、作業時間が10分の1以下に短縮されたという。
古河電気工業(古河電工)は、栃木・日光市で実証実験を行った道路標識や照明といった道路附属物の点検・維持管理を簡易化する「自治体向け道路附属物維持管理システム」をメンテナンス・レジリエンスTOKYO 2019(会期:2019年7月24〜26日、東京ビッグサイト)内の第11回インフラ検査・維持管理展システム展で紹介した。
ゼンリンデータコムのAI画像認識技術を活用
地方自治体が管理している道路関連構造物の点検・維持管理は、老朽化の加速や人材不足などの理由で、橋梁(きょうりょう)やトンネルなどの大型構造物や重要度の高いシェルド・横断歩道橋・門型標識などの道路附属物が優先されている。道路標識や照明などの小規模なものは、数も膨大で施設台帳や点検調書も未整備のものが少なくない。
古河電工の開発したシステムは、ゼンリンデータコムの持つ「ドライブレコーダー映像からのAIによる道路附属物画像認識技術」と、2018年7月からグループ企業の古河産業で販売を開始した「ARによる道路附属物点検支援システム」を組み合わせている。
ARによる道路附属物点検支援システムは、国道を主な対象に、建設コンサルタントで採用が進んでいる支援ツール。事務所のデータ管理ソフトと、現場のAndroidタブレットにインストールする点検支援アプリからBluetoothを介してニコン・トリンブルのGNSS受信機でつなぎ、点検や調書の作成にかかる手間を最大4割削減する。
現在、検証を進めている自治体向けの道路附属物維持管理システムは、この既存のシステムに、踏査時にドライブレコーダーで撮影した画像をゼンリンデータコムのAIで解析する機能を追加した。自治体の管理する県市町道では、道路附属物の施設台帳が存在しないことも多い。そのため、人的・資金的リソースが不足し、人海戦術で施設台帳が物理的に不可能な自治体向けに、施設台帳の作業を簡略化するシステムを構築した。
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