100台以上のデバイスを無線LANに接続できるAP、大小さまざまな拠点で真価を発揮:建設業におけるIoT・AI活用セミナー(2/2 ページ)
フルノシステムズは、本社や事業所、現場といったさまざまなシーンでの無線LAN環境構築を目指し、「ACERAシリーズ」や「QX-C300」といったアクセスポイントを提案している。
トンネル内でも現場と事務所間の情報共有を可能に
次に、シャープマーケティングジャパン法人営業統轄部ソリューション営業部の明石康彦氏が登壇し、場所を選ばずワイヤレスLAN環境を組み立てられるAP「QX-C300」を紹介した。
多くの建設会社が、現場のネットワーク敷設に頭を抱えているという。背景には、拠点間に公共施設があるため配線工事が困難だったり埋設の施工が高コストになる点や、断線時に不具合箇所の特定が難しいといった課題がある。
シャープが開発したQX-C300は、こういった問題を解消したAP。「無線バックホール方式」を採用しているため、有線LANの配線なしに、ワイヤレスネットワーク空間を作り上げられ、電源さえあれば、現場を含めたさまざまなエリアで活用できる。
取り付けられたバックホールは、個別のチャネルを設けているので、多段接続時も通信速度が低下しにくい。
機体は、IP66に準拠した防水・防じん仕様で、対風速性能は毎秒最大60メートル、動作温度はマイナス20〜50℃、湿度は、結露しないことを条件として、10〜90%に対応している。
QX-C300の活用事例も説明された。高層ビル建設での使用例として、事務所のルーターと施工途中の高層ビル内に設置したQX-C300を無線で通信させ、建屋内にWi-Fi環境を構築したモデルを紹介。これにより、建物内で端末を介しての図面データの確認と、遠隔地の管理者が現場の状況をチェックできる体制を実現している。
また、トンネル工事での利用例について、明石氏は、「掘削に合わせて、APを多段接続し、事務所からワイヤレスネットワークを広げていったケース。現場と事業所間での各種情報の共有を可能にした。トンネル内は、反射波が使用できるため、APのカバー領域が拡大する。通常の場合、本体を囲む半径50メートルが対象となるが、トンネル内は半径100メートル以上が範囲となる」と解説した。
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