日本HPが満を持して上市したCADプリンタの新標準、“ドライバーなし”でスマホから図面印刷:HPスペインの開発環境とは?(3/3 ページ)
日本HPは、CAD/GIS向け大判プリンタ「HP DesignJet T」シリーズをリニューアルした。新機種には、設置スペースを大幅に削減し、20万円を切る価格帯を実現した次世代主力機などが追加された。2019年版テクニカルモデルの最大のウリは、アプリ「HP Click」が無償で提供されること。スマートデバイスから1クリックで大判プリントが実現するなど、図面のA1/A0大判印刷がこれまでよりもずっと手軽になる。
HPスペインの開発現場での取り組み
日本HP本社のオープンハウスでは、スペイン・バルセロナから来日したHP DesignJet オペレーション部門カスタマーシュアランス プロダクトマネジャー・秡川愼平氏が登壇した。
日本HPでの大判プリンタのサポート部門を経て、秡川氏が2017年から勤務するHPスペインのバルセロナ事業所は、1985年の開設。1993年には大判インクジェットプリンタの設計・開発・製造の中心的な役割を担うようになった。
2000年からは生産拠点をアジアに移し、グラフィックモデルの取り扱いを開始。現在では、屋内外サイン・ディスプレイやデジタルプリント壁紙を出力するHP Latexインク搭載機の他、3Dプリンタにも対象機種を広げ、製品開発を進めているという。
バルセロナの開発現場では、「規制対応と安全性」「機能性と環境配慮」「ユーザー評価」など、段階的に日々詳細な製品テストを繰り返している。規制対応では、電波干渉や静電気放電などのグローバルでの基準をクリアし、安全面では絶縁抵抗や耐久性、熱発生、騒音などの試験を行っている。
また、機能性と環境配慮では、開梱と組み立てから、輸送時の安全確保、インストール時やモニター画面のインタフェースまで細かく検証。一方のユーザー評価では、ユーザーの声をヒアリングしてフィードバックし、世界共通で安定的な製品供給に努めている。
懇親会には、日本HP・岡隆史社長が訪れ、「HPとしては、産業・商業印刷の分野を成長領域として位置付けている。ここ数年は、別のレイヤーとして重視しているのが、“セキュリティ”。HP製品が各国の政府機関や軍などに採用されていることから、セキュリティに対するグローバル標準の規格を策定しており、これを製品開発にも反映させている。そのため、世界で最も“安心・安全”なプリンタとして、エンドユーザーに訴求していきたい」と期待を語った。
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